翻刻
《割書:ても其日のいとなみにいとまなく常に何の思慮もなく身のおもさをも忘れ|たち居も常とかはらず其功により気血のめくり宜く産することもいと易し》
《割書:是自然の道にかなへばなり貴婦人は是と背きて着帯|よりは色々の仕つけしならしありて常とかはれること多し》既に出生し
給ひて後も亦(また)然(しか)り添乳(そいち)抱寝(たきね)等の事なく産母の乳
汁は参らせず乳(う)母のちゝはかりを用ひそれも御 控(ひかへ)乳母
といふものを抱(かゝ)へおき折々に参らせ是らも彼しならし
有て食事(しよくじ)居動(きよたう)も自由ならずこれにより其乳ながく
保たず不日にあかりやすくかくあれば引かへ〳〵参らすにより
乳汁も程よき養とならす又少しにても啼声を発し
給ふ事を忌(い) ̄み唯(たヽ)昼夜に抱(たき)かゝへ機嫌よきを宜き事
となし参すは何事ぞや《割書:其 這(はい)習ひ立(たち)習ひ給ふことも平人よりは遅し是既に|その本づく所ありて止事を得ざるの所よりなり》
かくあるゆゑに其生長し給ひて後も糵(もやし)作(つく)りて地に植
付ぬやうなる養ひ故 薄弱(はくしやく)にして強実にましまさゝる
はことわりなり是ら皆 幼(いとけなき)より育(そだて)まゐらする御乳やめの
とのるい其外附添奉る人ゞの常にあつまりゐて何の
弁もなく無益に大事〳〵を主張(しゆちやう)せしの弊(ついへ)なり多(おほく)は
丈夫をも婦女をも同し様に育(そたて)まゐらすがちなり又大人
となり給ひては臣下あまた召仕ひ給ふ身なれば何一つ
備はらさる事なし自在にのみ成り立せ給ふにより起居