翻刻
【右丁】
れは少(シバ)らく《振り仮名:巫祝|フシク|ミコカンナキ》を仮(カ)り《振り仮名:鬼神|キ |カミ〳〵》《振り仮名:時日| |コヨミ 》《振り仮名:卜筮|ボクゼイ|ウラナヒ》に依て
以て其心を安(ヤスン)し其気を平かにし凶(ケウ)を転(テン)して
吉に誘(イサナ)ひ禍(ワサワイ)を変(ヘン)して福(サイハヒ)を招(マネ)くも実に養胎の
一助といふへし又/漢土(モロコシ)脩(シウ)養の術(ジユツ)に至て間(マヽ)亦
此に類(ルイ)するものあり概(ヲホムネ)皆/練精(レンセイ)といふ移精(イセイ)変(ヘン)
気といふの二ツに出ることなし古人日光を吸(ス)ひ星(セイ)
辰(シン)を呑(ノ)み風雲に《振り仮名:飛揚|ヒヤウ|トヒアカリ》し山水を《振り仮名:跋渉|ハツセフ|フミワタリ》するも
其/体(タイ)健(スコヤカ)に徳化/自在(ジザイ)なるの象(カタチ)にして固(マコト)に其/理(リ)なし
と云ふへからす故に能(ヨク)修練(シユレン)する者は天寿も延(ノバ)すへし《振り仮名:災|サイ|ハサ》
【左丁】
《振り仮名:禍|クワ|ハイ》も禳(ハラフ)へし《振り仮名:至危|シキ|アヤウキ》の地といへとも亦/免(マヌカ)るへし昔(ムカ)し彭祖(ハウソ)は
八百歳老子ハ四百歳/我朝(ハカチヤウ)倭姫命(ヤマトヒメノミコト)は五百余歳
を経(ヘ)たまひ武内宿祢大臣(タケノウチノスクネタイシン)は三百余歳を持(タモ)たれ
しことゝ聞伝(キヽツタ)ふ是必養生の至極せるものと
見へたり今も上寿は百歳中寿は八十下寿は
六十人の常といふへし然れとも動(ヤヽ)もすれは
禁忌(キンキ)を犯(ヲカ)して其天年を《振り仮名:残賊|ザンソク|ソコナフ》す譬(タト)へは風中の
灯(トモシヒ)を《振り仮名:蜜室|ミツシツ|■ノウチ》に蔵(カク)し雪(ユキ)を《振り仮名:陰山|ヰンサン|ヤマカケ》に蓄(タクハ)へて之(コレ)をして風
日に冒(ヲカ)さゞらしむれは其《振り仮名:消爍|セウシヤク|キヘキユ》の患(ウレイ)をなすも遠かる