翻刻
【右丁】
を聞覚(きゝおぼへ)また和漢(わかん)之書 若干(そこばく)を読たるもあれと
かの陰陽の理を曾(かつ)てしらず只みだりに彼(かの)病(やまひ)
には是薬を施(ほどこ)すとのみ心得て人を療する人
多く病家もまた是をうけがひて治を与(か)ふ
まことに闇夜(あんや)に弾丸(たんぐはん)を投(とう)ずるごとく人を害(がゐ)
するの甚(はなはだ)しき病家もまた是を不察(さつせず)終(つい)に非命(ひめい)
の死をいたす事身を不知の甚しき歎(なげく)べきの
事なりそも〳〵養生をして自の身をしる術
いかんといふに曰天地陰陽の源を知りて人身
陰陽の理に達し人身陰陽の理に達して
【左丁】
人身の病の発る理を詳(つまびらか)にし病の発る理を詳
にしてこれを治するの薬性(やくせい)を暁(さと)し或は予(あらかじめ)
これを防(ふせ)ぐの術(じゆつ)をしるかくのごときの次第を
よく弁(わきま)ふは生を養ひ命にしたがふの本にして
其事 遠(とふき)にあらずされども大かたの事只 其末(そのすへ)を
論(ろん)じて其元(そのもと)に及(およ)ぼさせればいづれの時か身を
全(まつた)ふする事を得んや《割書:予》こゝに於(おひ)ていさゝか
おもふ事有るがまゝに喫茶の余談(よだん)を爰に
記して我党(わがとふ)の童子にしめすといふこと
なりけらし