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【右丁】
○天
天は陰陽の元(もと)無量不可思議(むりょふふかしぎ)のものにして其か
たち広大(かうだい)にして徳(とく)もまた大(おゝい)なるもの也是の理を
知らざるときは天といへは上の青き処をのみ天とおもへ
ども青きは不可思議の色にて天にそれとさし
たる色はなく無色(むしき)の色 極(きわま)りて蒼々(そう〳〵)【左ルビ:あを〳〵】の色をあら
はす是を近(ちか)くいへば水は無色のものなれどもその
積(つも)りて深淵(しんゑん)【左ルビ:ふかきふち】となるときは其色の青きがごとし
故に天は上ばかりを天といふにあらず土(つち)を離(はな)るゝ
処皆天にして天のはたらきを具(そなへ)ざるときは
【左丁】
万物に用なし其天のはたらきをいふときは万物
空(むな)しき処皆天なり万物此空しき処用にて
万 器(き)といへども実する時は用(はたらき)なし故に茶碗の内も
きせるのらうの内も針(はり)のみゝずの内も万物 用(はたらき)をな
す処は皆天の万物に具(ぐ)してそれ〳〵の用をなさし
むるものにて万物の用は悉(こと〴〵)く天の用也然てその
天の用を容(いる)る者は何ぞといふに則是地にて其地を
容(いる)るものは天なり天有て地なき時は万物を生(せう)ずる事
なく地有て天なき時は万物を育(いく)する事なく乾坤(けんこん)
相得て万物を生し育するを天地 同一(どういつ)とはいふなれ