翻刻
【右丁】
ごとし是にて円き地を廻(めく)る事を知るべし
故に足合(そくかう)の国(くに)とて図(づ)のごとく上下足を合すの
処にても落る事なきは地心の一気にてする
所なり
○陽
陽の元(もと)は日輪(にちりん)也故に日をさして太陽といひまた
これを火の元(もと)とす故に火の上へもゆるは其 本位(ほんゐ)に
皈(き)するのすがた也然れども火は上へもえ水は下(しも)へ流(なが)
るゝとばかりおもへども実に火は上より引(ひ)き水は下
より引ものにて上へ引き揚るは陽の性(せい)にて此陽
【左丁】
の人に寓(くう)【左ルビ:やとる】するは人 生(うま)れてはじめ声(こへ)を発(はつ)するとき
心肺(しんはい)の橐籥(ふい[ご])初めて相摩(あひま)【左ルビ:すれあひ】し死するの夕(ゆうへ)に至(いた)る
まて其ふいごやむ事なく此 橐籥(ふいご)にて陽気を生
するの理はたとへは金石(かねいし)相撃(あひうつ)て火を生ずるがことき
もの也然して此陽気は血に乗(の)りて総(そう)【惣】身(しん)をめぐる
ものにて人身 温暖(うんたん)なるは則此陽の徳にて陰の
血に寓(ぐう)して陽のはたらきをあらはす也故に人(ひと)心([し]ん)
肺全(まつた)しといへとも陰血を亡(ほろぼ)す時は陽気 寓(ぐう)する事
あたはざる故に死に至(いた)るなり
○陽の性