翻刻
【右丁】
陽の性は上へ引くが陽の性にて其理をいふ時は暑
に中(あた)り怠隋(たいた)《割書:身のだる|さをいふ》するも過酒(くわしゆ)【左ルビ:さけのすきたる】の翌日(よくじつ)怠隋するも
同理にて暑にあたり怠隋するは夏は日輪 頭上(づせう)に
至りて陽の引き強(つよ)き故 表(そと)の守りおろそかなる
時は日輪の陽にひかれて人身怠隋するなり
人は陽の一気を元(もと)として働(はたらき)をなすもの故内より
作(つく)る陽気と毛孔(けのあな)より皈(き)する陽気と同し都合(つがう)に
こしらへたるもの也然るに内より作(つく)る所の量(りよう)より
も是を外に引(ひく)事甚しき時は必怠隋するなり
過酒の後怠隋するも内より酒の雇(やとひ)陽気にて急(きう)に
【左丁】
推(おし)出す故に陽気も酒力におされて天に皈(き)【左ルビ:かへる】する
故に跡は必怠隋する也陽の性外よりひかるゝが
内よりおし出すかの違(ちが)ひなれども天に皈するの
一理かくのごとしと知るべし
○陰
陰の元は土也故に万物 象(かたち)有るもの皆土に皈せすと
いふ事なく是地心へ皈するの理にて万物土より
出たるもの故に本位(ほんゐ)に皈するのすがた也即かたち
といふ和語(わご)かたつちといふ義にて土の事にて万物
目に見ゑかたちをあらはしたるもの土にあらずといふ