翻刻
【右丁】
にて易(ゑき)の陰【記号】(陽)陽【記号】(陰)の卦(くわ)を見るに陰中に一陽あり
陽中に一陰ある事かくのごとくなる時陰陽相得て
用(はたらき)をなし又天【記号】地【記号】の卦は如此 独(どく)陰独陽と
なるが故に相争(あひあらそ)ふ事なし故に水も寒中になり
て氷るときは水の用(はたらき)なし是陽を失(うしなは)んとするが
故なり火も暑中には勢(いきお)ひ弱(よは)し是陰を失んと
するが故なり故に乾(かわ)ける物には水を引き朽(くち)たる
木に火のもへざるもこれ水気なきが故に火気を
たもちかたし是陰陽相得てはたらきあるの理也
扨陽より陰を引くの理はしめりたるものを日の
【左丁】
照(て)らす処におけは水気 湯気(ゆげ)となりて天に登る
然るに其湯気の升るを塗りもの抔(など)を持(もち)て上に
覆(おゝ)ふときは水気其覆ふものにたまる是水気を
日輪に引くの理也扨また能(よく)乾(かわき)たるものを土(つち)の上(うへ)
におく時其乾きたるもの必しめるなり 是 乾(かわ)き
たる物へ水気を引くにあらず天に引也然れども
其処に乾たるもの有故其物に先水気を引く
其水も気はかりにて象(かたち)をなさざる時は日輪をさし
て登れともいさゝかにてもかたちを結(むす)ふ時は忽(たちまち)雨(あめ)
となりて地に皈する是 自然(しせん)の理なり