翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 34

ページ: 34

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【右丁】 みたりに心を労(らう)し身を傷(そこの)ふ事をなす孟子(もうし)も 《振り仮名:人々有貴於己者弗思耳|ひと〳〵おのれにたつときものありおもわざるのみ》といへりこの己(おのれ)にたつ ときものといふは心の事にて霊妙(れいめう)不思議(ふしぎ)の貴(たつと)き ものなれども人 多(おゝ)くこれを正(たゞ)しうする事をしらず もとよりこの心といふものはかげもかたちもなきもの にてこれを何(なに)の故に心といふ名(な)有りといふに人の 心(しん)の臓(ぞう)は一身の内にて至(いたつ)て大事なる臓故其名に よそへて心(しん)といふ然れども其心の元有てその元(もと)を 知らざれはこの心を知る事かたく其心の元は天地 陰陽 未発(いまだはつせざる)の以前より固有(こゆう)【左ルビ:もとよりある】のものにて日月の天(てん)に 【左丁】 懸(かゝ)り地の天中に有りて不落(おちざる)も皆是心の元の 徳(とく)にてなす是を天の一元といふ也又 釈氏(しやくし)に三界(さんがい) 唯一心(ゆいいつしん)といふも此天心の霊妙(れいめう)不思議(ふしき)なる徳をさし て三界(さんがい)ともに唯(たゝ)一心なりといふことなり其一なる理 をいふときは寒き時は人皆 寒(さむ)きと覚(おぼ)へ熱(あつ)き時は 人皆 熱(あつ)きと覚(おぼ)へ喜(よろこ)びを見れば喜(よろこ)び憂(うれい)を見れば 憂(うれ)ひ怒(いかり)を見れば怒(いか)る是唯一心の用(はたら)きたしかなるしる しにて日月星辰 森羅万像(しんらばんぞう)唯(たゞ)一心にて其本一也 亦其徳の蜜(みつ)なる事をいふときは人倫(じんりん)鳥獣(てうじゆう)魚鼈(ぎよべつ) 草木(そうもく)にいたるまでもらさず養(やしの)ふこれを大海の水に