翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 36

ページ: 36

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【右丁】 性にあらざるものなししかれども心(こゝろ)といふは含血(ちをふくむ) の者ならてはなき故に性と知覚(ちかく)を合して心の 名ありといふ故に性の字(じ)は心と生にしたがふ夫(かの) 天の一元より出たるをいふ也故に天之命之謂(てんのめいこれをせいと) 性(いふ)といへりまた此知覚といふは知(ち)は知(し)る事 覚(かく)は 覚(おぼゆ)る事にて此知覚ともにかげもかたちもなき ものにて其(その)証拠(せうこ)は此 知覚(ちかく)のよき人は数(す)万の書 をも知り覚へまた知覚のさとからざるものは其十 分の一にもおよばず是もし人の心といふもの心之臓 一はいぎりのものなれば知覚とも程の有べき事 【左丁】 なれども知覚におひては不可思議のものなる故にこれ をはかりしるべきものなしされば心といふ字に人の 心の臓のかたちを図(づ)して【心臓の形の図】と云は人身におひて は心の臓は尤 貴(たつと)む処の臓なる故彼一物を心(しん)に比(ひ) したるのみにて必(かならず)此心といふ字(じ)にかゝはるべからず ○心を労(らう)する時は身を傷(そこな)ふ事 されは心は虚霊(きよれい)不昧(ふまい)【左ルビ:くらからず】にしてかげかたちもなく火中 に入りてやけず水上(すいせう)に臨(のぞみ)て溺(おぼ)れぬものなるに 何(なに)を以て痛(いた)み煩(わづら)ふ事有りと云に心は不生不 滅(めつ) のものなるが故に煩ひいたむ事はなきものなれども