翻刻
【右丁】
ずといふものありまた三 椀(わん)の余(よ)は食せられずといふ
これ同(おな)じく健固(けんご)に居(お)る人なれども人によりて如此の
相違(そうい)ある是(これ)皆(みな)外より知るべからずひとり己(おのれ)に知(し)れる
処なりたとへば虚弱(きよじやく)なるものゝ壮実(そうじつ)なる人のごとく
せんとしつよきものゝよわき人のごとくするは是(これ)身(み)の
程(ほど)を知(し)らさるの至愚(しぐ)にて其程といへばたとへは一丈の
物と五尺のものと中(ちう)を競(くら)ぶるときは壱丈の物の中は
五尺にて五尺の物の中は二尺五寸なり然(しか)るを壱丈の
物の中を五尺のものゝ中とおもふときは大過(たいくわ)する也
故に人々によりて其 量(りよふ)の同異(どふい)を察(さつ)して其程(そのほど)を
【左丁】
知(し)る事養生の専務(せんむ)とす然ればこの養の一字を
知(し)るときは天命を保(たもつ)事 全(まつた)く一切の者過る時は破(やぶ)れ
不及時は危(あやう)く節(せつ)にかなふ時は養(やしな)はる草木(そうもく)の養不足
する時はやせ養に余(あま)る時は枯(かれ)節(せつ)にかなふ時は栄(さか)ふるごとく
なれば人身の養(やしなひ)また此理と同(おな)じく過(ぐわ)不 及(ぎう)なく節(せつ)に
かなふを養生ともいふなり
○房事(ばうじ)の事
水(みつ)之 源(みなもと)は月輪(ぐわつりん)にて水は万物の始(はじめ)にして大極(たいきよく)の
むかし清(す)めるは升(のぼ)りて天(てん)となり濁(にご)れるは降(くだ)りて
地(ち)となるの時 月輪(ぐわつりん)より水気 降(くだ)り其水気を大地(だいじ)に