翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 44

ページ: 44

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【右丁】 うけ持(もち)て万物を生ずるのもの則水にて人も其ごとく 骨肉(こつにく)は土温煖は火にて日輪の分(わか)れ血液(けつゑき)は水にて月輪 のわかれ故に陽ありといへども血なきときは陽(よふ)寓(ぐう)【左ルビ:やどる】する 事あたわず故に大に脱血(だつけつ)するときは忽(たちまち)死(し)す是陽の 乗(の)り物を失(うしの)ふが故陽気天に皈(き)して死するなり 故に人の血液は至(いたつ)て大切なるものにて是をたとへは 血液は薪(たきゞ)陽気は火のごとくなるが故に火有りといへ とも薪(たきゞ)なきときは火 寓(ぐう)する事あたわざるものなれば まことに秘(ひ)すべきものなり然してその血液(けつゑき)の元(もと)は 一切の飲食(いんしよく)を脾胃(ひい)にうけ陽気をもつて煆煉(たんれん)【「かれん」とあるところ】し其 【左丁】 飲食の内の精微(せいび)なるものを取(とり)て津液(しんゑき)となしまた 其津液の内にて精微(せいひ)なるもの心臓(しんぞう)に入りて血とな し其血の内にて精微なるものこれ精液也故に精は 人身 臓腑(ぞうふ)筋骨(きんこつ)これを養(やしの)ふの本(もと)にして至(いたつ)て精 微なるものにて実(じつ)に秘する事を貴(たつと)ふべきものなり 故に唾(つば)といへども其 煅煉(たんれん)の後は必血となるものなれば みだりに吐(▢く)事を禁ず痰沫(たんまつ)を多(おゝ)く吐き唾(つば)をみだり に吐ものは次第に痩(やす)る是血之本を亡(ほろぼ)すがゆへなり そも〳〵精は草木の仁(にん)のごとく草木の実(み)を結(むす)ぶに 仁は至て精微のものにて其仁を地に指(うゆ)るときは