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【右丁】
は其水 減(げん)ずる事有りて皈(かへ)る事なく終(つい)に陰虚(いんきよ)火(くわ)
動(どふ)の症(せう)をなすこれもとより人身の血液はわづかなる
ものなるに大(おゝい)なる陽と相対(あひたい)し居るもの故に陰(いん)に
いさゝか不 足(そく)を生(せう)ずる時は陽気 忽(たちまち)偏勝(へんせう)する事 早(はや)し
是本の大なるか故なり人多房なる時はみだりに陰
を亡(ほろぼ)す故に陽気(よふき)偏勝(へんせう)して火動(くわとふ)するなり近来
みだりに癇症(かんせう)といふも是皆陰を亡(ほろぼ)して陽気 勝(かち)に
なりたる故にみだりに怒(いか)り憤(いきとふ)るなり皆(みな)是(これ)陰虚(いんきよ)より
火動(くわどふ)するの証(せう)なり
○人身 虚実(きよじつ)の事
【左丁】
人の虚実(きよじつ)は朱子のいへるごとく仁義(じんぎ)礼智(れいち)の性を以て
せずといふ事なしといへども其うけたる事ひとしき
事あたはずといふごとく人々にうけたる器(うつは)によりて
虚実(きよじつ)は有るものなり人の元気は心肺の虚実にあり
て心肺のふゐごの具合(ぐあい)よき人は陽気の作(つく)り出(いだ)し
よし其陽を作り出(いだ)すは起居(ききよ)動(どう)作にあれは起居
動作をせざる時はふいごのいきおひゆるくなりて
陽気一身に不充(みたず)この人をさして虚人といふ故に
つねに安逸(あんいつ)を欲せず起居動作を専(もつはら)にして陽気
をみたしむる事をなさば外邪(ぐわいじや)に侵(おか)さるゝ事もあるまじ