翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 48

ページ: 48

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【右丁】 ○平生養生 心得(こゝろへ)の事 人の病中は国家(こくか)の治乱に比すれば病中は乱(らん)にて 病て薬(くすり)するはたとへばみだれたる処へ兵(つわもの)をくはふる と同じく一邪(いちじや)一 毒(どく)あるものに薬(くすり)を用る時は味方の 薬をして敵の邪と戦(たゝかは)しめてみだれたる国(くに)を治(おさむ)るが ごとしさて平生無病なるときはよく治りたる国の ごとくなれば其時に不養生をして敵を引 納(いる)る事 なき様にすべし国の政道(せいとふ)よき時は太平なるがごとく 其乱るゝには極(きわ)めて所以(ゆゑん)のあるごとく病(やまひ)に六気七情 ありて六気外より侵(おか)して七情内より傷(そこの)ふたとへは七情は 【左丁】 反(かへ)り忠(ちう)のものありて城内(でうない)より乱をおこしたるが如く 六気は城の外(ほか)より侵(おか)すといへども敵(てき)を防(ふせ)ぐのそなへよき 時は侵す事なしといへども敵をふせぐの備(そなへ)おろそか なる時はて敵をして引入るゝがごとし流行(りうかう)の厲気(れいき)は 一気の流行(りうかう)にて大軍の敵(てき)襲(おそふ)が故に人々 多(おゝ)く病(やめ)と 夫も守護(しゆご)の備(そなへ)厳重なれば侵(おかし)がたし是(これ)守(まも)りのよき 人なり夫をたとへば夏日(なつむき)午睡(ひるね)などをするに衣衾(ふとん)を 不覆(かふらず)して臥(ふす)ときは必す風に感(かん)ず是(これ)守りのおろか なるが故なりかくいへば邪気は天地の間に満(みち)て有る様に おもへども左にあらず邪気といへども天地の間に有る