翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 58

ページ: 58

翻刻

【右丁】 は天に通(つうう)ずる故に天地の気を呼吸(こきう)する時この疫気 をもましえ入る故に邪気ふかく胃(い)にちかき膜原(まくげん)につく この故に疫邪におかされし時は通例の風邪(ふうしや)と同様に おもひて一通りの風薬を服(ふく)しみだりに発汗など すべからず反(かへつ)て害(がい)あり ○養生を守る時は流行の病(やまひ)をうけぬ事 はやり病にて病人多き時にても養生の守りよき 人は病をうけぬといふこと張華(てうくわ)が博物志(はくぶつし)に見えて 霧(きり)深(ふか)き朝三人旅行(りよかう)せしに一人は空腹なるもの壱人は 酒を飲(のみ)たる者壱人は食に飽(あき)たるものと三人霧(きり)の中を 【左丁】 通りしに其後(そのゝち)空腹(くうふく)なりしものは病を得て終(つい)に 死(し)し酒(さけ)を飲(のみ)たる者は煩(わつら)ひ食に飽(あき)たるものは何事もなか りし是守りのよきものははやり病をうけぬ事を 知るべし ○病中 心得(こゝろへ)の事 人病ときは病は医(いしや)に任せおきて養生を不守人 多(おゝ)し 是 己(おのれ)をしらざるの甚しきものにて先薬は何故に 服するぞといふ事を知るべし総(そう)【惣】じて薬は病有故に 用る事なれば病を治せんための服薬なるに薬を服(ふく)し ても養生を守らさるは何の心ぞや今時の人 多(おゝ)く