翻刻
【右丁】
さへすれば治したりとおもひ不養生なるときは忽 再(はね)
発(かへ)すわづかの水づかひ抔して再感(さいかん)するもの多し
是甚 微少(びせう)の事なれども障(さわり)あれば病後の養生至
て大事にすべき事を知るべし又痢病なども度数
すくなく大便常に復(ふく)したりともこれを治したりと
おもふべからす別して痢病(りひよふ)は起居(たちい)動作(あるき)を心得食事
等(とう)に心得あるべし病後邪気已に去(さ)るといへども養生
不調(とゝのはす)して死する人甚多しこれなげくべきの甚
しきものにてこれらの人をたとへば糊(のり)にてかため
たる器の糊のいまだかわかざるに重(おも)き物(もの)を納(い)れて器(うつは)
【左丁】
のくだけたるがこときものなり
○急に治して宜敷病又急に治して不宜(よろしからざる)病(やまひ)の事
あれとも病はすみやかに治する事をよしとおもふは一
統(とふ)の情(ぜう)なれども急(きう)に治(じ)してよき病と急に治して
不宜病とあり此急に治してよき病と云は傷寒(せうかん)時疫(じゑき)
血症(けつせ)の類(るい)是 何(いづ)れとも急に治(じ)するによくその他何れ外
より侵(おか)したる病は急に治する事をよしとすしかしな
がら是もまた日数(ひかず)ありてみだりにはなりがたしまた
急に治して不宜とする病は一切 湿毒(しつどく)の類 疥癬(ひぜん)など
を病たる時は必急に治する事をよしとすべからず是内