翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 61

ページ: 61

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【右丁】 に一 毒(どく)ありてなす事なれば毒の尽(つき)ざるときは治(じ)する 事あたはず夫をしゐて治せんとするときは必 変病(へんびよふ)し て終(つい)に死(し)に至(いた)る是(これ)皆(みな)治(じ)を急(いそ)ぐの咎(とが)なり扨また腫物(しゆもつ) の内にも疔(てう)と見(み)る時は急(きう)に針(はり)を入る事をよしとす此 疔(てう)の急なる事は須臾(しゆゆ)に死生(しせい)の限界(かぎり)ありて甚 急(きう) 卒(そつ)の病となれば急に切る事よし此外諸の腫物(しゆもつ)に至(いた)り ても膿(うむ)べき時ならざれは《振り仮名:不_レ膿|うまず》口の明(あく)べき時来らざれば 口不_レ明口のおさまる時ならざればおさまらず是皆其病 によつて節(せつ)の有事にて其節(そのせつ)を不_レ得ときは必 害(かい)を なすとおもふべし 【左丁】 ○病を治するに両様有る事 古(いにしへ)より何々を治(じ)するとありて治(じ)は乱(らん)の反対(はんつい)にて病は 乱にて其乱を治むるを治するといふなり又俗になをす といふも直(なをく)するにて直(なをき)は曲(まかれる)の反対にて曲れるを直する の語(こ)なり然るに今のなをすは是(これ)にことにして右にある 病を左になをし左にある病を右に転(なお)し表(へう)にある病を 裏(り)へなおし腰(こし)の痛(いたみ)を足へなおすの類なり近来湿病 の治方を見(み)るに多(おゝ)くは此 類(るい)に近(ちか)く湿毒(しつとく)に於(おひ)ては疥癬(ひぜん) 楊梅瘡(よふはいそう)は此上もなき軽(かろ)き症(せう)なるを其ひぜんを骨う つきになをし骨うづきを耳(みゝ)へなをし耳を眼へなをし