翻刻
【右丁】
眼を鼻(はな)へなをすのるゐ多し是なげくべきの甚しき
なり楊梅瘡疥癬なとは湿毒(しつどく)の内にても至(いたつ)て軽(かろ)き
症なれは必ず悪敷なをす事なかれ疥癬(ひぜん)などを病(やむ)
ときは必す早く治せんとて付薬(つけくすり)をし薬湯などに早(はや)
く浴(よく)する時は必骨うづきになをすことあり何れ表(ひよふ)へ
発(はつ)する病は陽気の強(つよ)きにて裏(り)のよろしき症なれ
ば必ず早くなをす事をせずあらんかきり出す様に
すべし表に出んとするとき必ず下す薬を用る事なく
内より食事等にも強(つよ)きものを食せしめて外へ出(いだ)す
様にすべししかしまた至て強(つよき)き【衍】時は旁(かたわら)に下剤(くだし)を
【左丁】
用る事あれども是はたとへば南風を求(もと)めんと欲せば
更に北窓(ほくそう)を開(ひら)くといへるごとく南の風を得んとおもふに
北(きた)の窓(まと)を明るがごとしかくのごとくするときは発表の
勢(いきおひ)よき也然れども是は臨機応変(りんきおふへん)の術(しゆつ)にして一 概(がい)
に論(ろん)ずる事にあらざれは先あらましを記す
○痛(いた)む腫物(しゆもつ)はよく痛(いたま)ざる腫物はよからざる事
一切の腫物の痛をよきといふは如何(いかに)といふにすべて
痛(いたむ)といふは陽気の行 当(あた)る物ありて行当る故痛を
知るなり行当るといふは行がたき処を行んとする故也
然るに此行ものは陽気当るものは邪気也是を近(ちか)く