翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 64

ページ: 64

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【右丁】 血 煮(に)へかへる時は狂をなし煮のたらざる時は冒(ばう)をなす 此 冒(ばう)といふは俗にいふあはふの様なると云こゝろなり ○乱心するの理 人 発狂(はつきやう)し気違(きちがひ)になるはいかなる道理ぞといふに時疫(じゑき) 傷寒(せうかん)の讝語(うたこと)【ママ 注】いふと同し道理(どふり)にて心の臓の血の毒(どく)に よりて沸騰(ふつとふ)【左ルビ:にへかへる】するなり故に狂人(きちがひ)に発作(おこりさめ)の有るも是毒 の心(しん)の臓をかこむとかこまさるとの時による也人身に おひて心の臓は尤大切なる臓(ぞう)にて心は神の舎(やと)る所(ところ)と ありて見聞(けんもん)覚知(かくち)の役人(やくにん)をいだす所なり眼(め)耳(みゝ)鼻(はな) 舌(した)といへども皆其役所のごとき処なり其役所へ出す 【左丁】 役人は心の臓より出(いだ)すなり故に人身に於(おひ)ては至て 大事なる処なり故にいさゝか突瘡(つききつ)にても背(せ)にて 七の椎(づ[い])より上或は胸(むね)を突ときは必(かなら)ず死(し)する是心の臓(ぞう)に 当る故也 其余(そのよ)の処は大瘡(おゝきつ)たりといへども絶命(ぜつめい)にはいた らず其外 時疫(じゑき)傷寒(せうかん)にて讝語(うたこと)いふも此理にて傷寒の 時のうたこといふも陽明(よふめい)の症(せう)といふて邪気(しやき)内へ入り陽気 外(ほか)へ出(いて)かわりて外の陽気にて内の心(しん)の臓(ぞう)の血を煮(に)へ かいらすときはうたことをいふなり ○国々によりて病の異(こと)なる事 南国は日輪に近(ちか)きゆへに平生 温熱(うんねつ)の気あり故に人身 【注 「うはこと」の誤ヵ】