翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 71

ページ: 71

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【右丁】  痘(とふ)は体中(たいちう)に具(ぐ)する処の一毒(いちどく)時(とき)を得(へ)て発(はつ)する病(やまひ)にて 此病は古(いにしへ)はたへてなかりし病なれども中古より次第(しだい)に 行れ近世(きんせい)にいたりて尤 盛(さかん)なり此病 古(いにしへ)なかりしは地に 濁気すくなく殊(こと)に妊娠(にんしん)中母の養生の守(まも)り宜敷故に 自すくなし中古より次第に多(おゝ)くなり近世にいたり て尤 盛(さかん)なるはいかにといふに湿毒大にはやりし故父母 伝染(でんせん)の毒 遺毒(いどく)となりて伝染する故に益 盛(さかん)にして 難痘(なんとふ)多し故に妊娠中の養生を守(まも)り扨又初生の時 解毒(げどく)を無油断(ゆだんなく)行ふ事大によし然る時は痘自かろし 扨又時によりて流行(りうかう)するはいかにといふに是本内より 【左丁】 たくわへたる一毒天地間流行の疫気につれて発する 病なり故に時によりて病むなり此病は初より心を用 て療ずる時は死にゐたる程の事は有間敷病なり近来 湿毒多く行るゝ故に痘毒の助勢(たすけ)をなして重から しむ故に通平(つうへい)の療治を行ふ時は必 難痘(なんとふ)にいたるべし 故に近来一種の法ありて序熱(ほとおり)に下剤を用る法あり 是至極宜敷法なり略 心得(こゝろへ)の次第をいふときは序熱 三日の中に下剤を用ひ六日めよりは下利する事を禁 初下剤の用様よき時は六日目の頃より便 秘(ひ)し起脹(はり)灌(やま) 膿(あげ)の勢(いきおひ)よし尤疱瘡は軽(かろ)き重(おも)きを論(ろん)ぜず順逆を目出