翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 76

ページ: 76

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【右丁】 運行(うんかう)よろしからずして留飲(りういん)となる是の理をたとふる に物を煮(にる)に胃中へ鍋釜(なへかま)のごとく陽気は薪火(たきゞひ)のごとく 生物を多(おゝ)く鍋に入たるに是を下より微火【左ルビ:ぬるきひ】にて焼(たく)ときは 其(その)熟(じゆく)【左ルビ:にへ】すること必 調和(てふくわ)せざるがごとく下賤(げせん)の起居 動作(どふさ) をしけくなすものに留飲(りういん)する事なし是則 胃陽(いよふ)の火(ひ) のしかけよき故なりもし微火(ぬるきひ)にてかたきものを焼(たく)ときは 煮(にへ)ざるがごとく其にへたる程は陽気(よふき)に和して一身をめ ぐり養(やしな)へども残(のこ)りたる水は皆 留飲(りういん)となる是其はじめ わづかなれども追々(おひ〳〵)溜(たま)るに随(したが)ふて胃中(いちう)の陽気(よふき)のめぐり を失ふ故に留飲となるにしたがふて陽気の運行を失(うしな)ひ 【左丁】 津液(しんゑき)又 乾(かわ)くことをなし大便 常(つね)に秘(ひ)し大便秘するに 随(したが)ふて身体(しんたい)痩(やす)るにいたるよつて留飲を治(じ)するは食を 減(げん)じて治(じ)するといふも是理(このり)なるに尚(なを)も魚肉をみだり に食(しよく)すれば不熟(にへざる)の上へはものを入るがことし扨留飲たまる にしたがふて食を好(この)むことあり是 胃中(いちう)【左ルビ:はら】へ陽気(よふき)めぐら ざる故に津液(しんゑき)生ぜず身体(しんたい)に陰(いん)をひく事甚しき が故也近来 留飲(りういん)病大に行はるゝも多(おゝ)くは富貴(ふうき)奉 養の人にあつて是皆 不相応(ふそうおふ)の驕(おごり)を極(きわ)むる故なり 古(いにしへ)は富貴の人といへども麤食(そじき)をして夫々の職(しよく)を務(つと) めしが今の富貴の人は安逸(あんいつ)に暮(くら)して美食(びしよく)を