翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 84

ページ: 84

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【右丁】 にて暫時(ざんじ)も止(とま)らざるものなれば一身の陽気を外へ おくり出(いだ)す故に神気も表に出て神心をたのしましめ 鬱悒(うつゆう)を散(さん)ずるにこれを多く飲時は裏の陽気を表(ひよふ)へ出(いだ) す事 過多(くわた)なる上酒にそなはる処の陽気も亦表にこ づみみつる故に心臓(しんぞう)の血(ち)を沸騰(ふつとふ)【左ルビ:にへかへらし】せしめて狂人のごとく □す傷寒(せうかん)などの讝語(うたこと)を発(はつ)すると同じ理也また多(おゝ) く酒後 吐逆(ときやく)する人有是は酒の陽気裏に充満(ぢうまん)して も表へ出る事あたはざる時は陽気上に激(けき)し升(のぼ)りて 飲食とともに吐逆(ときやく)す或は又酒の陽気 胃中(いちう)にて津液(しんゑき) を引集(ひきあつ)めたる事多き故に跡(あと)にて大便(たいへん)必 下利(けり)する 【左丁】 こと有夫故に上戸(じやうご)の人は常に大便 溏(くだ)ることあるも 此理也扨同じ人身を以ていかなれば下戸はすくなく飲(のみ) ても大に醉(ゑ)ひ上戸は多(おゝ)く飲(のみ)てもしからざるといふに 飲食人皆 大抵(たいてい)同じ事にて飲酒のごとく各別(かくべつ)の 甲乙(かうおつ)なきを何(なん)そ其別(そのべつ)の甚(はなはだ)しきといふに下戸と上戸 の別(わか)りは人のからだに三焦(さんせう)といふものありて其三焦の腠理(そうり)【左ルビ:あな】 の太(ふと)きと細(ほそ)きとによる然(しかう)して此三焦のすがたいかなる ものぞといふに咽(のど)の処と胸落(むねおち)の処と腰(こし)の処にあり て人の臓腑(ぞうふ)を表につなぎたるものにて二 ̄タ役(やく)をかね其 すがた厚(あつ)き皮のごとく其内空にして内より作り出(いだ)す