翻刻
【右丁】
其一二を挙(あげ)てしめさん先留飲の人ならば毎日の食量
を常の食の三分の一に減(げん)し背(せ)にて七 椎(ず)より十四の椎
までの左右に灸(きう)を五十 壮(そう)計(ばか)りつゝ七日ばかりする時は薬せず
して留飲(りういん)を去る事 疑(うたがひ)なし食を減(げん)ずる事は留飲の去(さ)る
までなすべしまた至て便秘(べんひ)する時は白豆の煮(に)しめたるを
野菜(やさい)の代(かわ)りにしその外は香の物ばかりにて他の薬を食(しよく)
すべからず或(あるひ)は其時 芥子(からし)を少々 用(もち)ゆかくのごとくする事
一月ばかりなすときは何程の留飲(りういん)といへとも治するに疑(うたかひ)
なし又 痰症(たんせう)なるものは天地不正の気にはかならず痰(たん)発(おこ)る
其時も食事を平日の半分に減(けん)じ勿論 菜(さい)も前のことく
【左丁】
淡薄(たんはく)【左ルビ:かろき】なるもの計りにして食を減(けん)ずるときは何程
の痰(たん)にても治するなり然れども是も痰ばかりにて他病
なき時は右の治方にてすれども他病を加る時は又それ〳〵の
仕方(しはう)あり諸病おの〳〵かねて防(ふせ)ぐの術(じゆつ)かくのごとくなれば
ひろく推(おし)てこれを心得(こゝろへ)へし
○生涯 歯(は)を固(かたふ)するの術(じゆつ)
頭(かしら)は諸陽(しよよふ)の会する処にて陽気の集り易(やす)き処なり
然るに甘き味のものを多(おゝ)く食するときは陽気の好(この)む
味なる故甘味の有処へは陽気(よふき)集(あつま)る故に平日甘味をた
しむ人は大かたに歯のわるきもの也されどもその甘(あま)き