翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 91

ページ: 91

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【右丁】 下に引くによつて上の陽気下へ皈(かへ)らんとする時 陰血(いんけつ) 上に位(くらひ)し陽気下に客(かく)し相(あひ)交錯(かうさく)【左ルビ:まじわりて】し逆上(ぎやくぜう)をやむこれ 灸は陽を引の理を見るべしまた灸(きう)するに肥大(こへたる)の人は 壮数(そうかづ)を多(おゝ)くし痩(やせ)たる人は壮数をすくなくしてよしと いへることありたとへば是は領分(りよふぶん)せまき処は早(はや)く行き届(とゞ) くの理なればさもあるべしされど是は無病なるものに灸 するの法なりとしるべしまた腹(はら)にも尤 灸(きう)する事あり 唯(たゞ)灸して不宜は津液 乾燥(かんそう)【左ルビ:かわきかわく】したる人には乾(かわ)けるに火を 用るの理なればよろしからず又 平生(へいぜい)滋味(じみ)膏梁(かうりよふ)を食し て起居動作をせざる人は常(つね)に灸をする事よし近来 【左丁】 多(おゝ)き留飲(りういん)の症(せう)などには灸をする事大によし是留飲 は水の溜(たま)れる病なれば火を用ひて運(めぐら)する故によろし ○針(はり)の事 針は古より有りて救急(きうをすくふ)の術(じゆつ)は是にまされるものなく 病に的当(てきとう)する時は灸薬の及ぶ処にあらず誠に死(し)せる ものをも蘇(よみかへ)らし臥(ふ)せるをも起(おこ)さしむるの類皆 針術(しんじゆつ)にて なせる処 功(かう)を速(すみやか)に得る事是に勝(まさ)るものなしされど 古に用(もち)ひたる針(はり)は今の山稜針のごときものにて血(ち)を取(と)る事 を専(もつはら)とせしもの是又功を取(と)る事至て速(すみやか)なりしが今 の針には大に異(こと)なり扨今の毫針(がうしん)を用るの理いかにもいふ