翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

こけぬ津え - 翻刻

こけぬ津え - ページ 92

ページ: 92

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【右丁】 に略(ほゞ)古(いにしへ)より針に補瀉(ほしや)の理ありといへども補するの理は なかるべし只(たゝ)瀉(しや)するのみとおもふべきなりされども痛めて よしとするあり不痛(いたまず)して功(かう)を得(う)るあり深(ふか)く刺(さ)すべき 症あり浅(あさ)く刺(さ)すべき症ありて一 概(がい)に論(ろん)ずべからざれど 痛めてよしとするは麻痺(まひ)【左ルビ:しびるゝ】攣急(れんきう)【左ルビ:ひつはる】して身体(しんたい)屈伸(くつしん)なら ざるなどの症(せう)には痛を以て功を取る此理いかにといふに是 神気(しんき)陰陽(いんよふ)の往来せざる故に麻痺攣急をなすかくの ごときの症は痛を以て神気(しんき)を呼(よ)ぶ是神気は人の知覚 する処にて痛 癢(かゆみ)を知るものにて其神気の走(はし)らざる 処は是一邪一 毒(とく)ありて隔(へだゝ)るものなれば如此痛しびれ 【左丁】 を覚(おぼ)ゆ故に針の痛みをもつて神気を呼(よ)ぶ神気の 走(はし)りを得れば陰陽の往来を得て活し或は卒倒(そつとふ)のもの に針する時至て太(ふと)き針にて随(ずい)分痛る様(よふ)にするこれ又 何(いつ)れ気(き)をとり失(うしの)ふものは辟(へき)する処によりて神気陰 陽の往来を絶(せつ)する故に死(し)せる人のごとくなるものなれは 其時は足(あし)にても腹(はら)にても随分 痛(いた)む処の穴処をゑら みて刺(さ)して其 痛(いたみ)を知(し)れば神気其針処へ走る故其時 息(いき)を吹かへすなり是皆 痛(いたみ)を以て功(かう)を得(う)るものなり其 外 針(はり)を刺(さす)の浅深(せんしん)は人の肥痩(こへやせ)病の有処により臨機(りんき) 応変(おゝへん)の術(じゆつ)なれば容易(よふい)に論(ろん)じがたしまた水腫(すいしゆ)鼓脹(こてう)の