翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

砦艸 - 翻刻

砦艸 - ページ 19

ページ: 19

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常(つね)に用ひざる井(ゐど)の水を飲(のむ)べからず陣取(ぢんとり)たる所に 古井あらば汲尽(くみつく)して新水(しんすい)を用ゆへし汲(くみ)かへる 時 蝋燭(らうそく)をともし井中に下(くだ)してみるに消(きゆ)るは毒(どく) あり新(しん)水を外より投(なげ)入て欝気(うつき)を散(さん)じ又火を 下して試(こゝろ)むべし火の消(きえ)ざるはよし古井に入て 卒(そつ)死せるを度々(たび〳〵)見聞(みきゝ)せり流水(りうすい)は皆(みな)用べしと いへども毒虫(どくちう)毒草(どくさう)或(あるひ)は砒石(ひせき)など源(みなもと)に在(ある)は水に も毒(どく)あること古よりの戒(いましめ)也あるひは茸狩(たけがり)にゆき 野原(のはら)にて清水(しみづ)溜(たまり)たるを見ていかにも潔([い]さぎよ)ければ 飲(のみ)て帰(かへ)りぬると其(その)夜(よ)より腹痛(ふくつう)はげしく膓癰(しようえう)を 病(やみ)たりき是(これ)は毒(とく)の緩(ゆるむ)なる也 天水(てんすい)おけの水も止(たまり) 水(みづ)と同理(どうり)なり夏日 炎天(えんてん)に水を桶(おけ)に入てあた ため湯(ゆ)になりたるに浴(ゆあみ)すべからず俄(にはか)に中暑(ちうしよ) するものなり況(いは)んや呑(のみ)たらんはます〳〵毒(どく)ある べし但(たゞ)し天日にあてゝあたゝめたるうへを火にわ かし直(なを)せば浴(ゆあみ)しても害(がい)なし少も餒(すえ)【饐】たる物と覚(おぼ)ゆる