翻刻
毒煙(どくえん)にあたれば昏倒(こんたう)すといふ是を防(ふせ)ぐには水(みつ)
銀(かね)を酢(す)に漬(ひた)してその酢(す)を目(め)鼻(はな)にぬる又は蜜(みつ)を
ぬるもよしとぞ又 礬石(はんせき)を水に和(くは)して七竅(しちけう)にぬる
既(すで)に毒(どく)に中(あた)りて九竅(きうけう)血(ち)を出(いだ)すは頻(しき)りにそゝぐ
【上部欄外】
野陣
【本文】
野陣(のぢん)せんには大 蒜(にんにく)葱(ひともじ)のるいを不断(たえず)食して湿気(しつき)瘴(しよう)
気(き)を避(さく)べしつねに大 蒜(にんにく)を腰間(こし)にもつけて持(もつ)べし
となり蒜(にんにく)はうち身(み)へすり付あるひは腫(しゆ)もつの
敷灸(しききう)にも用ゆべし寒気(かんき)を忍(しの)びては外邪(ぐはいじや)は元(もと)
より泄下(せつか)腹痛(ふくつう)痰(たん)疝(せん)など再発(さいほつ)するなれは軍(いくさ)
場(ば)には毛(け)泥障(あをり)を敷(しき)ものにしてそのうへに寝卧(ねふし)
すれは下冷(したひえ)の難(なん)を避(さく)るとなり又 枕(まくら)に箭筒(やつゝ)を
すれは遠(とをき)所の《割書:唐(から)にて数里(すり)|の外とあり》人馬の足音(あしおと)ひゞきて
知(し)らるといへり空虚(くうきよ)なる故に聲(こゑ)をうくると
見えたり《割書:但し箭(や)のあるはひゞきは|うけざるなり》
【上部欄外】
水脈
【本文】
遠国(えんこく)に攻(せめ)入て便宜(びんぎ)によりて水なき地に陣取(ぢんとり)
せる事も有(ある)べきに俄(にはか)に井(ゐ)を堀(ほら)んにはまづ水脈(すいみやく)【左ルビ:みづすじ】