翻刻
力帯(ちからおひ)の端(はし)を切て用ゆへし金瘡(きんさう)の人は嗔(しん)怒(と)喜(き)
笑(せう)大言(だいげん)労力(らうりよく)妄想(もうさう)熱物(ねつぶつ)飲酒(ゐんしゆ)酸(すし)鹹(しほからゆき)を禁忌(きんき)すへし
昔(むかし)より水を忌(いむ)といへとも世人の心得たるほどの
害(がい)はなしなれとも漫(みだり)に用ゆへからす賀川流(かかはりう)にて
【上部欄外】
力帯
【本文】
は出産(しゆつさん)すると其まゝ水にて血(ち)の薬(くすり)を用ゆ力帯(ちからおひ)
とは木綿(もめん)一幅(ひとはゞ)をしごき下散(げさん)のくつろきを大ま
かに縫(ぬふ)如くに通(とを)して胴(どう)を引あけ置(をき)てしかとし
むる也是 着具(ちやくぐ)の秘法(ひはう)とすいそき着(ちやく)しても草摺(くさすり)揃(そろひ)
て見 苦敷(くるしき)事なく且(かつ)は着心(きこゝろ)もよく久敷 鎧(よろひ)しても
重(おもき)を不覚(おほえず)陣(ちん)中へは布(ぬの)木綿(もめん)は貯(たくはへ)もたらしゆく
べき事なれとも此帯もうは帯(おび)も入用の丈より
長くしてかゝる時なと端(はし)を切て遣ふことを心懸の
一とす又 白布(しろぬの)にては血塩(ちしほ)なと染(そめ)たる時見えや
すきまゝに紺色(こんいろ)に染(そめ)る事 習(ならひ)也又 甲冑(かつちう)の家地
は目立たる色は隙(ひま)見えて敵(てき)のねらひになれば
其心得有を良とすといへり力帯を不知人の