翻刻
よしことの外いそく時は少々 軽粉(けいふん)を加(くわ)ふ
大疵(おゝきづ)は発(はつ)して内攻(ないかう)するものなり三黄湯(さんわうたう)
をもちゆへし膿汁(のうじう)にならねば死(し)する者(もの)
多(をゝ)し露蜂房(はちのす)くろやきにしてあふらにて
解(とき)傅(つけ)る
手(て)不亀(かゞまざる)方(はう)樒(しきみ)のあふら惣身(そうみ)へぬるべし
又 酒(さけ)三升 胡椒(こせう)拾弐匁 少(すこ)し煎(せん)じて手足(てあし)に
ぬるべし
【上部欄外】
溺死
【本文】
溺死(できし)【左ルビ:おほれしに】に礬石(はんせき)を粉(こ)にしてしきりに口(くち)鼻(はな)に吹入水を吐(と)
すなりむかし大津にて溺死(できし)を救ふに俄(にはか)に明礬(みやうばん)なく
其 医(い)かしこき者にて紺屋へ取に遣けるに忽(たちまち)に得(え)て
救(すくひ)たりと賞(しやう)せし事を聞(き)けり雞冠血(けいくわんけつ)又 象牙(ざうげ)の
粉(こ)何(いづ)れも鼻(はな)口より吹(ふき)入る肛門(こうもん)より血(ち)の出たる者
足の大指(おほゆび)強直(きやうちよく)になりぬるは不治とす山雀(やまがら)幾羽(いくは)に
ても羽のまゝ黒焼(くろやき)にして惣身(そうみ)へぬる溺死(できし)一宿(ひとよ)を経(へ)
たるも尚(なを)救(すく)ふべし皀角(さいかち)を搗(つき)絹(きぬ)に包(つゝ)み肛門(こうもん)に入る