翻刻
も皆同し《割書:蚕(かいこ)ぬけかはり巣(す)をつくりて蝶(てふ)となり諸(もろ〳〵)の毛虫(けむし)も同じ蛇(へび)|もぬけかわり魚はこけかはり海老を見てしるべし孑孑(ぼうふり)》
《割書:化(くわ)して蚊(か)となる其|両三種をこゝにとく》無心(むしん)の木といへども初め種(たね)より生じて
年を経(へ)て大木となる是(これ)真(しん)より年々 成木(せいぼく)して皮(かわ)は
年々さる也されば親木の肉はいつかさり尽(つく)し実生(みしやう)の
時と変化(へんげ)す人 産(うま)るゝ時の骨肉年々成長して毛(け)
歯(は)も抜かはり皮肉(ひにく)も垢(あか)となり小児大人となればこれ
生るゝ時の骸(からだ)はぬぎ捨(すて)るなりされば親より受(うけ)る骸は
ぬぎすてる精気(せいき)は親より譲(ゆづ)り受て見るに形(かたち)なし是
則天地の間に有心(うしん)無心(むしん)変化(へんげ)の理なり然(しか)れば癩(らい)
病 元(もと)病(やまひ)にして悪血(あくち)悪 肉(にく)吐下(とけ)して其病毒をさり
食(しよく)をもて体を補(おぎな)ふときは全(まつた)き人となる○唖(おし)聾(つんぼ)といへ
ども不具(かたわ)にあらず病毒のため耳(みゝ)舌(した)不仁(ふじん)也小児 体(たい)
毒のため耳(みゝ)舌(した)《振り仮名:不_レ通|つうせず》唖といへども声(こゑ)あり聞(きか)ざる故いふこと
をしらす然(しか)るを耳(みゝ)聞(きこ)ゆるは畜類(ちくるい)に近(ちか)し抔(など)といふこれ
毒 薄(うす)くして舌道(ぜつどう)不仁の症あるひは潤環(しゆんくわん)せざる故に痀(せ)
瘻(むし)となり病毒 強(つよ)くして虫(むし)を生じ○癲癇(てんかん)となり皆
毒のため種々(さま〴〵)の病を生ず此症は胃中の悪気(あくき)上
衝(しやう)して気 絶(ぜつ)す上気 下(くだ)る時は自然と生(せう)気となる