翻刻
是 吐剤(とざい)を用るの症皆毒のため難症(なんせう)也されば是
不具(かたわ)にあらず不具なるもの成人(せいじん)すべき謂(いわ)れなし
是 殺蠱剤(さつちうざい)気発(きはつ)の療治をなす時は則治す○中
風此病も不治(ふぢ)の症と究(きわ)む此症は大いに悦(よろこ)び大い
に驚(おどろ)き大いに患(うれ)ひ又は労煩(らうはん)なすか或は四十五十に
して壮婦(わかきおんな)に交(まじは)る時は此病を生ず胃中に悪気を
止め精気(せいき)を失(うしな)ひ血気 潤環(じゆんくわん)せす故に手足不仁と
なる発表(はつひやう)吐剤(とざい)を用ゆるの症故に此病は大便(たいべん)けつし
病 盛(さかん)になるときは朦々(まう〳〵)たり是吐剤を第(だい)一にし下
剤 発表(はつひやう)にて療する時は則治す既に傷寒(しやうかん)を病(やみ)て
耳舌不仁又は上衝して乱心(らんしん)するあり是 当座(とうざ)の
聾(つんぼ)唖(おし)中気乱心なりされば病の重(おも)きと軽(かろ)きとな
れば治せざる事なし世人吐剤下剤に恐(おそ)るれど霍(くわく)
乱(らん)食傷(しよくせう)吐下せしによりて能(よし)といふ事は人 皆(みな)知(し)る
処(ところ)也吐剤下剤を用ゆれば其 体(たい)労(つか)るゝと心得(こゝろえ)病の
ため体(たい)を労(つか)らす事を知らず病毒をさる時は食を
もて其体を補(おぎな)ふ事 速(すみやか)なり傷寒平 愈(ゆ)する人五
十日六十日かゝり床(とこ)ずれ髪(かみ)ぬけ漸(やゝ)にして全快(ぜんくわい)する