翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

精養 - 翻刻

精養 - ページ 7

ページ: 7

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其道を守りて、療するに病者の多少(たせう)に寄(よる)べからず、医道は 人 生(うま)れながら自然(しぜん)をもて備(そな)はれり、《割書:痛(いた)めて揉(もむ)ことをしり、草臥(くたびれ)|てさすることを知り、腹(はら)痛め》 《割書:ば苦(にが)きを喰(くら)ふ、大便(だいべん)けつすれば下(くだ)るを|思ひ、寒気(さむけ)して汗(あせ)することをしる》されば数(かず)を尽(つく)して妙に 至らんとは、諸芸(しよげい)を学(まな)ぶに均(ひと)しき愚(ぐ)の心なり、愚の志を もて数を尽すといへども何(なん)ぞ其妙に至らん哉、自(みづから)の病を 自治し病を去べき薬を究(きは)めて、他の病を治療なすべき 事ならずや、然れば多く病人を治療して妙に至るとは、 元来(もとより)天地自然の療治を知らねば、危(あやふ)き事(こと)にしてよく 薬を売捌(うりさばく)の妙なり、又医書のみ沢山(たくさん)渉猟(せうりやう|みる)するとも、病 の根元(こんけん)と阿吽(あうん)と天地の自然を暗記(あんき|あきらめ)せずんば、書の目(ふちやう) を沢山(たくさん)覚ゆるのみにして益(えき)なき事なり、世の諺(ことはざ)に病人 を多く殺さゞれば其妙に至らぬ抔(など)と、是人道を知ら さるなり、万物の霊(れい)たる人を試(ため)して其妙に至るとは 不仁不義也、試(ため)さるゝものこそ哀(あわ)れなり、医は既(すで)に仁 術(じゆつ)といふ病苦(びやうく)を救(すく)ふをもて仁なり、鳥(ちやう|とり)獣(じう|けだもの)虫(ちう|むし)に至る迠 其薬を知り喰ふて病を愈(いや)す、《割書:犬(いぬ)猫(ねこ)は草を喰ふて吐(はく)ことを|知り、山野にすむ獣もくさ〳〵》 《割書:の物喰ふて体(からだ)を養(やしな)ふことを知り、鳥といへども皆同じ、蜘(くも)蜂(はち)に刺(さゝ)れ|芋(いも)の葉(は)にこすりて其痛みをさる、人蜂にさゝれし時、芋のはをもみて》 《割書:つくれば、その|痛みをさる也》是天地自然也、況(いわん)や人におゐておや、後世