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更(さら)に験(しるし)なきか故世に医療の治定(ぢぢやう)なき事を歎(なげ)きて
自(みづか)ら薬数品(くすりかずしな|すひん )#1を集(あつ)め其 効(かう)なきを捨(すて)其効 有(ある)を用ひ
て汗吐下(かんとげ)の薬剤(やくざい)を究(きは)め自(みづか)らの病を療する処 悉(こと〴〵)く
病を去り始て無病の人となる是 胃中(ゐちう)の毒を去る
が故也 尚(なほ)九族(しんるい|きうぞく)の病を療する事 数人(すにん)響(ひゞ)きに応(おう)して近(きん)
郷(がう)里人(さとびと)難症(なんせう)の治療を受く普(あまね)く験(しるし)有て無病の
人となす師(し)祐之(ゆうし)十有八年 已前(いぜん)より江府(ゑど)に来(きたり)て今(こ)
年七十有五歳 頭(かしら)に白毛(しらが)を生せず眼(め)明(あきらかな)にして歯(は)の
患(うれ)ひを知(しら)ず精気(せいき)壮者(わかきものゝ)#2の如く実(じつ)に無病の老翁(らうおう)なり
予(よ)師に従(したがつ)て悉(こと〴〵)く道を学(まな)び吾(わ)が体(からだ)のやまひを療し
家族(かぞく)を治療なすに無(む)病となすこゝにおゐて四(よ)
方(も)の貴賤(きせん)の病を治療なすに百 発(はつ)百 中(ちう)にして
其 効(しるし)なきといふ事なし寔(まこと)に無病長生の術(じゆつ)張仲(ちようちう)
景(けい)以来(いらい)の法(ほう)にして真(しん)法也古人の語(ご)に病を攻(せむ)るに
毒薬(どくやく)を以てす生(せい)を養(やしな)ふに穀(こく)肉(にく)菓(くわ)菜(さい)を以てすと
いへり然れば人々 食(しよく)を旨(うまし)として食するこそ生を
養(やしな)ふ第一にして薬をもて体(たい)を補(おきな)ふ理(り)なし近世
補薬(ほやく)持(ぢ)薬と称(しよう)して其 好(この)む物を禁(きん)食しその