伊那市×みんなで翻刻

コレクション: 内藤家資料 (1) 2

藩翰譜(五) - 翻刻

藩翰譜(五) - ページ 23

ページ: 23

翻刻

【右丁】 《割書:存するはいかにといひしかは かねてより面々もこの事をそんし候ひき|御はからひもつとも しかるへう候とみな一同に答ふ重次父かまくらに》 《割書:よりそふてなく〳〵此よしを申けれは正次まつたく汝のいさむるとこ|ろをふせぐにはあらすたゝし聞ところのこときは正次か所存にいさゝか》 《割書:たかふ所あれはかさねて人々とはかつて義の当らん所にしたかはうと|おもふなり正次 はしめ 此所にまかりのぼりし時将軍家御前ちかく》 《割書:めされそも〳〵大坂の城は五畿の内にありてちかくは王城を鎮護し|とをくは南海 西海 山陽 山陰の要路にあたりて数十州の鎮たり汝か》 《割書:当家累代の旧臣にして慶長元和の 戦功他にことなるをもつて我|代官として此城の事をつかさとらしむる所なりと仰下されしかば》 《割書:正次ふせうの身をもつてかゝる重職にあらん事いかてその任にたゆへき|さりながらすてに泰平に属し 当時なにのはゝかりか候へき もしくは又》 《割書:いかなる窃盗諭盗なとおこつて城墻をうかゝひ候はんに正次か運命の|あらんかきり 城をはよも 人手にはわたし候まし たゝこれを以て正次か》 《割書:奉公のそにとつかまつるへきにて候と答たてまつりてまかり上り候ひき|されは正次か 一息も息のつゝきてあらんほとは此城をたれにかわたし》 《割書:候へきまた正次こゝにて死したらんには 君のましまさん所をけがし|申すのはゝかりあるに 似たれとも およそ城をたかくし地をふかく》 《割書:するといふ事は 事あやうきに のそみて 戦士死をもつて守るへきか|ためなれはしゝむらをつみて塁をまし 血をしたみて水をふかくする》 【左丁】 《割書:事いにしへより其ためしすくなからす もし死をもつていむへくんば|城きつく事なからんには しくへからすこれらの事を以ておもふに 人々の》 《割書:議せらるゝところ正次か素懐に同しからさるに似たり しかれとも 正次|わかかりし時たに わか知の 人に 及はさる事をみつからしれりき》 《割書:いはんや今老耄の期すてにいたり老病たかひに身にせまりて心神|さらにあきらかならす 正次か所存ひとり義に当らんとこそ覚へす》 《割書:すべからく人々の議せらるゝところ正次か思ふ所を詮義し早馬を参らせて|御裁断を仰かるへうもや候といひしかは 重次も 人々も のたまふ所》 《割書:ことわり至極せりさらは飛脚をもつて此よしを申さるへしと|議定す同しき十日戌の時はかりに 飛脚至来し将軍家事の》 《割書:よしを聞召御感ことになゝめならす正次か所存御旨にたかふ事なし|もつとも神妙の至りに 思しめすたゝそのまゝに候へしと仰せ下され》 《割書:同き十二日飛脚はせかへり正次仰をつたへきゝて感涙にたへすわつか|一日をへて卒すいかにおもふ所やありけん遺言して淀川のほとりに》 《割書:して火葬し骨をも灰をも同しく水中にしつめけり○按するにこの|事平岡【「岩」の誤ヵ】主計頭親吉酒井雅楽頭忠世の伝にあわせ見るへきにや》 嫡男修理亮正澄は早世し《割書:伝は下に|見へたり》二男対馬守重次家を つく重次はしめ三浦監物藤原重政かためにやしなはれ