伊那市×みんなで翻刻

コレクション: 内藤家資料 (1) 2

藩翰譜(五) - 翻刻

藩翰譜(五) - ページ 61

ページ: 61

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【右丁】 《割書:定頭になさる是御勘定頭の初也と云々しかれは|伊丹かくのことき職に ある事 両度なり》此人農をつとめ 商を通し民と共に利を同うしける名誉天下の人 かたり伝ふる事誠に多し《割書:たとへは当時商人の抽分の料として|《割書:世にいふ上金|といふ事也》黄金を公にたてまつりて》 《割書:甲斐国の御領より出る小紙を《割書:世にはなかみ|といふもの也》ひとりして買ふてあき|なふものありしかるに又 家(富:朱書き)【左に朱点】る商人ありて 職に 告けて 今まての》 《割書:人々たてまつりしより黄金一千両を増して奉るへし 某に紙買ふ|事をゆるし 給へき よしを望請ふ 人々此事しかるへき事也ゆるすへしと》 《割書:いへは播磨入道順斎はまつ待たまへといひてきかす 此望こふ商人は執政|の人々にも皆しられたるものなれは内〳〵 執政にも此よしを申て望こふ》 《割書:事やます 三年のゝち 執政の人々順斎にむかひて 甲斐の御領より出る|紙の事望こふものあり同職の人々ゆるすへしとあれとわ殿一人か》 《割書:用ひぬといふはまことか天下の大より見る時は千両の金 誠にすこし|きなりといへとも これをもつて国用を足す時はある資なしとせんや》 《割書:いかてゆるし給はぬそやと 問けるに 順斎これを聞て今よりのち|偷【ママ】盗のおこり候はぬ 政たに候わんにはいかにもゆるしなんと 答ふ人々》 《割書:心得すいかなる事そといへは 本朝のもろこしよりことにすくれたる物は|紙の品也中にも小紙といふものはたかきよりいやしきに至て一日もなくて》 【左丁】 《割書:かなはぬ物にてその価のいやしけれはこそ世のたすけとはなれ望請ふものか|今まてのあき人かたてまつりしより千両の金をましてたてまつ》 《割書:らんといふは此千両の金いつくより出へき 此紙をあきなふに価を|まして其利を得てたてまつらんとの事候かれまつ 価をまし》 《割書:てあきなふを又それを買てあきなふ人いくらもあらんにこれも同しく|利を得てあきなわんとおもひこゝにくはゝりかしこにまして後には》 《割書:価甚たつとくなりなん 凡一帖の紙価一二銭をましたらんには|資ある人のうれへとなるには たへす 貧賤の人一日にうる所の 利》 《割書:まことにすくなしわつかに一銭二銭をかさねて妻子をもやしなふ|かくあさましきものとても今日まては小紙やうのものをつねにもちひ》 《割書:来れり 価たちまちにましたれはとてさらになに物をもつてかこれにかふ|へきしからはこれらもまたをのれ〳〵かあきなふ もの なににも あれ》 《割書:その価をましてそのうる所の利をもつて小紙をも買よりほかの|事あらし凡一物も価ます時は百物の価おなしくたつとくなる》 《割書:事みな此ことく 物毎の価たつとくなるに至つてもとめんとして得|さる時は或は飢或は寒にあたるとこゝゆるとのきはまるには必死す死》 《割書:すれとも守る所をうしなはぬは士より上つかたの事にて下つかたのものは|飢ても死す寒ても死す盗しても死す死は共に一定也同しく死する命》 《割書:なりともいかにもして一日も世にあらまほしく思ふはいやしきならひ也|さてこそ盗はおこる事に侍れこれは只農工商との事 のやうに候へと》