翻刻
【右側】
一日の間に朝昼晩三度呑食□し仕候右箸はすへて磁器にて御
座候右之台の上に燭台に蝋燭をとほし煙草を給申候煙草は割
乃候てきせるも日本の通りにて御座候煙草盆の様成物相見え不
申候茶は煎茶を給申候広東人は常に檳榔子にぎようと
申物を加へ間もなく給申候暫ク口中に含み後は吐捨申候右之様
は中人以下の作法にて御座候当代大 清(チン)風俗は古に替り頭上に
髪を少残置廻りをそり残たる髪を長く仕三ツに分ヶこれを組
後へ下ヶ申候衣服は上に着仕らせ衣衫(イサン)と申下に着仕らせ袴
と申足に襪(シタフヅ)と申物を着し帯を結び鞋(クツ)をはき申候衣衫の形
はゑりなく長は腰を限り帯はしんちうのほたんにてしけ合せ
袖は漸手の入ほとに丸く細く仕肩行はゆびのかくれ
申程に長ク拵袴は股引の様に致シきやはんの所も広く致シ
【左側】
足の出し入自由成様に仕候物にて御座候帯は幅せばく糸にて組
襪は踏皮(たび)の様成ものにて膝(ヒザ)まて着し申候常はひとへ成ヲ着
し礼儀有時は綿入を着仕候鞋は繻子の類にて拵申候木履
ははをひきく仕足のかうのうへを皮(カハ)にて張り候物にて御座候礼
服は羽織の様成物を上に着仕候是もゑりなく袖ほそく仕
候ものにて御座候小児の男女も大人の風俗も相変り不申候夏
の衣服は羅紗の類を着しいやしき物は布を着仕候常に
出行の時は笠を着仕候笠の形は丸く深く仕藤にて作り
上に赤キ毛をつけ申候仏神を拝仕候時も着仕候笠を着仕候て
礼儀の様に相被申候 巫医(ブイ)の本に麒麟も竹堂之日常人に相変
らずよし申候高官の人□衣服に麟鳳の文有由承ぬ
官人はいつれも一刀を左の腰に少し後へ太刀をはき申候様に