翻刻
【右側】
は町屋も御座候其内には他国の者を入不申候それゆへ城内の
広狭は難斗御座候城内も下は石たゝみの上に楼を拵戸も鉄にて
張り成程堅固に相見へたる事共にて御座候正面に額を掛申候
其文字は聖旨式(シヤウヒシキ)恩施(ヲンシ)ヶ様成文字を書申候町家も城下は
すへて瓦葺に仕家造り二階をこしらへ下は土間に致シ其間
毎に腰掛ヲならへ置各座し居申候腰掛の形は弐尺四方
高サ三尺ほとに仕下より壱尺五六寸の所へ座し居申候所を
藤にて細かにあみ或は板なとにて張り上は後に倚り候様両
脇も手ヲ掛又はより掛り自由の様に仕たる物にて御座候竹
にて拵候も御座候是も長崎にてきよくろくと申候夜は床
に寝(ね)申床の形は長サ六七尺幅四尺高サ五尺程に下より高サ
壱尺に藤にてあみたる床を拵其上に蒲団を敷上は四方に細キ
【左側】
柱を立羅紗又は繻緬抔に蚊㡡(ブンヂウ)を張ふんちうの目付に絹又
は布を一幅程長サ蚊㡡の長に仕詩文または絵抔を書或
はにほひ袋を掛おき申候平日腰掛居申候客来れは亭主
立て手をこまぬき礼をなし其後又座に着仕候二階にも
腰掛をおき珍客あるひは隔意の客は二階にも請
し申候富家は屋之後に高楼御座候町面は商売の店
を構へ各売物出し商売仕候長四五尺程にして板を出し
其板に売物の品々を書付かんばんを出し申候白地に朱色の
文字を書または赤地に金字ともにて書付また店毎に
額を座上に掛申候長サ壱尺幅弐尺にして拵是も朱色に
文字を書そのもんじは義興店(ギヨウテン)豊源店(ホウゲンテン)ヶ様の文字を書
申候戸外の柱に陽春のもんじを赤キ紙【ヵ】に書家〳〵に相