翻刻
[百廿一]藷仕立(いもじたて)核桃(くるみ)荳腐(とうふ) 右に出たり
[百廿二]塩焼(しほやき)いも 生(なま)にて皮(かは)を剥(むき)寸斗の厚(あつさ)に切うら表
共に塩(しほ)をはら〳〵とふりかけ遠火にかけ焼(やき)切(きり)様好次第
[百廿三]塩蒸(しほむし)やきいも 藷(いも)を土のまゝちよと水(みづ)に浸(ひたし)塩(しほ)を
ひつたりと塗(ぬり)付(つけ)炭火(すみび)に煨(うつみ)蒸(むし)やきにする也
○塩竃(しほかま)よりかき出(いだし)たる熱(あつ)き塩(しほ)にそのまゝうづみ
灸(やき)たるは風味(ふうみ)至(いたつ)てよし是(これ)甘藷(いも)百余品中の中(なか)
第一品(だいいちひん)たるべし世(よ)に塩竃(しほがま)蒸(むし)とて棘鬣(たい)抔(なと)蒸(むす)法(ほう)也
【左丁】
叙
明の周寧王が救荒本草は、民の飢饉を
救はんために撰ず、我 本邦、飲膳の正要は、
本朝食鑑、庖厨本草の二書たり、すへて、
本草の書は、民生日用の良材にして、これを
しらざるべからず、今や、この甘藷百珍の小一冊
は、其性味を詳にして、其修をしらしむ、彼
本草の書に比すれば、九牛が一毛なりといへども、