翻刻
ちくあんは病人のねるを見てわれらも
夕部【ゆうべ】のびやうにんにてすこしもふせり
ませぬゆへだんなのおそばでおせう
ばんにひとねいりいたしませうといへば
ないぎかそんならおまくらをあげませう
といふになにさ〳〵おこゝろづかひ御むよう
ぼうずのことなればいつかたへまゐつてもとかく
まくらにことをかきますれはくゝりまくらを
ぢさんいたしましたとふところよりかの
くまのごんげんよりさづかりしまくらをとり
いだしそばへころりとねたりしがげにしん
とくのしるしにやぜんごもしらずねいりける
ゆめのうちにむかふよりだいの男大口を
あいてひやうばん〳〵大酒くだりはらの
からくりこれより入つてごらうじろ
代はおもどり〳〵といふに
竹あんこれを見てさて
こそむかしもろこしの
ひちやうぼうといふ人
ちいさきつぼのうちに
入りて天地の大がら
くりを▲
▲
しかけて
おきしといふことじやが
このをとこもそのひちやうぼうの
たぐひならんとちかくすゝめばかの男は大ごゑ
あげだいがかはればせんしやくのわづらひあるひは
さしこみくだりはらこしのひきつりせんきの
つりいと百ひろみちのめい
しよきうせきこうもんの
ぬけあなおめとまりますれば
へがとぼつてまゐると口にまか
せてしやべるにぞちくあんは
えたりかしこしこしとしりひつからげはをりわきざし
とりすてゝぬつとはいればはぐきのつゝみのんどのせきを
うちこへて右は気道左りは食道(じきどう)しよくどうのほうを
ゆくにしかじとあゆみゆきはいひゐいの中へさしかゝれば
ぬまやらかはやらどろたぼうよう〳〵とたどりつきて[次へ]
【右丁下】
〽こゝは
なんと
いふ
ところ
であらふ