伊那市×みんなで翻刻

コレクション: 内藤家資料 (1) 2

藩翰譜(一) - 翻刻

藩翰譜(一) - ページ 52

ページ: 52

翻刻

【右帖】 御寵愛浅からす国松殿十四歳の時大坂の軍起る御母上 国松殿を近つけ参らせ殿はまさしき故中納言殿の御子 大御所の御孫にて渡らせ給ふ栴檀は二葉よりかうはしと こそ承れ弓矢とる家に生れ既に十歳に余らせ給へは 今度いかなる高名をもきはめて大御所の御感に預らせ たまへあひかまへてきたなひれて人にうしろゆびな さゝれたまひそ御父は聞ゆる大将なれと賤しき者の 腹にやどらせたまひし故にかゝる不覚もあれなどいはれ たまはん事口惜かるへき御事に候ぞやみつからいかに 女なり共さすが高名をもせさせたまはぬなど伝へ聞侍らば 【左帖】 いきて再ひ逢参らすへしとも覚へすと涙と共にかきくときて 軍の御装ともかひ〳〵敷取したゝめ出し立まいらす慶長 十九年十二月四日のあした越前の軍勢加賀の兵と先を あらそつて真田か城を攻し時国松殿まつさきをかけ給ひ 天下に名をあけ給ひけり明れは元和元年五月七日の戦 にもみづから太刀打して首とつて献らる同九年越前 国大野の城を賜ひ《割書:五万石それよりさきは大野のおく|このもとと云所三万石舎兄よりわかたる》寛永十二年 信濃国松本の城にうつる《割書:十万|石》十五年出雲の国を賜ふ《割書:十八|万石》 隠岐国を預けらる《割書:一万八|千石》はしめ出羽守従四位下より侍従 を歴左少将正四位下に至て寛文六年二月三日六十六歳