翻刻
【右丁】
【本文】
こゝに又正じき正作は仁内がために
二百両をひろはれすでに身を
なげんとしたりしにをりよく仁内に
見つけられて二百両の金をうけ取
あやうき命をたすかりて
ちゞみの仲がひかれこれの
用をたしはね井の里に
立かへりつく〴〵思ふに
二百両のかねをおとし
あをやぎばしにて
身をなげんとしたる時
たすけてくれたる
らうにんものはわが
ためにいのちのおや
名も所もいはざれば
れいをいふへきよすかも
なしたいまいの二百両
よくをはなれてかへして
くれたはまことに人の
かゞみなりわがための
まもり神せめて
あさばんちやのはつほ
そなゆるが身のみやうがと
たつときちしきに
命のおやといふもんじを
かゝせかけものにして
とこへかけおきわが
しなふとしたその日を
かけものゝえん日と
さだめその日は
【絵の下台詞】
〽けふは
命の
おやの
えん日
ほう
しやの
ために
さいぜん
も
ろくぶ
どのを
とめて
おいた
それゆへ
やしよく
の
したく
も
あれば
二人の
しゆも
とめて
やり
ましよ
【男】丸に正
【左丁】
【本文】
みきとうみやうなど
そなへてれいはいし
なほみのうへをいのりしは
まことに正じき
正作がこゝろの
ほどこそ
しゆしやうなれ
「それはさておき
こゝにまた」【二行矩形で囲む】
仁内がせがれ
孝太郎いもと
みさほは
ふたりのおや
ならびに
おじおばを
うたれてむねん
くちをしく
ぶしのいへに
うまれし身の
ないてゐる
所でなしと
百か日までのついふくを
てらへたのみいもとをつれて
かたきうちとは思へども
これぞとたしかなせうこはなし
とやせんかくやとなげきの
うちてんしるちしるの
どうりにて
「つぎへつづく」【矩形で囲む】
【絵の下台詞】
〽をりも
をり
とて
此とりめ
はて
ふうん
にも
つき
はて
たか
〽たのみに
おもふは
おまへ
ばかり
これは
ナア
あに
さんい
のう
【男】丸に 孝
【女】丸に み