翻刻!江戸の医療と養生

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八ツ目鱣因縁物語 3巻 - 翻刻

八ツ目鱣因縁物語 3巻 - ページ 25

ページ: 25

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右丁 さてありて八郎はみちのほど三里もすぎてたてばの茶やにやすらひ娘をのりものより出してきうそくさせありけるがふと心付たるにわがたいせしかたなとつかぶくろはにたれどもひとこしはわがしよぢの品にあらずさてはせんこく出立をいそぎて心あはてしゆゑかの武士の刀ととりちがへし物ならめ武士の身としておのれがさしりやうをとりちがへそこつともうろたへものいはんかたなきおちどなりすれども此ままにてはありがたしはぢをしのびてとりかへ来たんとおもへどもせつかく三里もすぎしことなり娘をつれてゆかば又又いかなるなんぎもはかられずとしもべにいひつけかの茶屋にのこしおき門口へ立んとせし所へ六人の武士いきを切てかけ来りやにはに八郎をひつとらへ刀のぬす人にぐるとてのがさんやちう代の刀をすりかへしはわうどうものよりとも公の御ばつかささめの八郎ともいはるるものがわが刀をとりちがへんどうりなし湯宿ににておこりしことなればのりものともにもとの所へ引かへせと八郎が▲ ▲わぶるをもかまはず大ぜいにてちうに引たてもとの湯宿へつれかへりさんざんにあくこうし此ぶんにさしおかれずとさうどうしければ湯宿をはじめしゆくろうむらおさ中に入りてさまざまなだめすかせどもさらにかけひくていもなし 左丁 かくて六人の武士口口にののしりけるは八郎をかまくらへ引つりゆきぬす人なりとごん上しそのうへねがひをもたつせずしてにう湯にたび だちしつみをかぞへてわれわれがいきどほりをはらすべし又それをなげかしくおもはばむすめおゆきをわれわれろくにんのうち一人へくれるか又さもなくはわれわれ六人と此ところにてうちはたすかいづれなりとも一條をかなへたらば此ばはあひすまさんとなり八郎此三が條をききてむたいのあるでういきどほれどもそこつのつみのがれがたくはじをすてすててわびことしいへのため子のためを思ひやり武士ににあはぬみれんながら手をすりてあやまりけり六人はいよいよかつにのりてののののしりやまず八郎いまはぜひなししよせんぜつたいぜつめい なりもとよりむすめをかれらが方へおくらんことをおもひもよらず子上はいさぎよく六人のやづばらとはたしあひうんめいを天にまかさんとおもひきはめしかじかのよし六人がもとへ申こみければをどりあをどりあがりてあざけりわらひなになによぼくれおやじめが此六人とはたし合んとやおもしろしおもしろししかしながらとうろうがおのをもつてりうしやにむかふがごとくただひとうちにてややいばのさびとなるべきにとしよりのひや水こそふびんなれさてさて手にもたらぬおいぼれにてちからづいえとちやうらうしいよいよ明あさ五ッ時このうみべにてはたしあはんとやくしけり 〇かかりしかば明あさ五ッ時はまことにぜつたいぜつめいなりとておゆきにこまごまときやうくんしおや子がわかれの水さかづきしてたがひになみだせきあへずわきてお雪はあるにもあられず父八郎にとりつきてほつにしあんはなきことかと天にめくがれ地にふしてなきくづれしぞどうりなる八郎思ひけるはわれおぼへあれどもしぜんうちぢにせしあとにてむすめをかまくらへつれかへらんこと下人にてはおぼつかなし「つきへ」 「どうぞしかたはござりませぬ か かなしやかなしや 「おんみも武士のむすめではないかみれんのなみだ見ぐるしいたしなみめされ 人物  雪  八