翻刻
右丁
あくれは権兵へは組のわかものどもをまねきて今日かやうの事にらいくわうくみへまねかるゝ也さつする所われにちかづきにならんといふはいつはりにてさいつこめのゐしゆをはらさんたくみなるべしよつて今日おの〳〵とわかれのさかづきしてゆく也とありければわかものどもこれをきゝていや〳〵おやかた一人にてはおぼつかなしわれ〳〵もともにゆくべしといふを権兵へおしとゞめ男を立る権兵へが大ぜいをおそれて手下のものを/具(ぐ)したりといはれなばいきてかへるともせんなし今日ぜつたいせつめいとかくごして大じやうぶのはらはたを見せしめわれ一人にてゆく也とてとゞむるをもかまはず一人よりみつがやしきへゆきまづおとづるゝに四天王のめん〳〵おの〳〵このみのだてもやうこゝをはれときかざりて権兵へにたいめんし手をとりて一と間の内へともなふそのぎやうぎはなはだていねいなり上段にはよりみつ源次左衛門すりばくしたるいなつまの大もやうついの大ひろそでにむらさきのはおりのひもはいかりづなのごのごとく四方かみにあつもとゆひにてまきたてたる大たぶさくわん〳〵と座しゐたるありさまはゑんま大王此世かいへゆるきいでたるかとあやまたるやがて権兵衛にむかひ一れいをはりていざ〳〵おくの間へ来られよ何はなくともいつこんくまんとて金ばりつけのふすま戸をおしひらきてともなひぬ
「いやしき町人のうつら権兵へおれき〳〵さまのおめどほりといひことにはごちさうの御酒をくださるとの事ありがたうぞんじまする御たがひにいらいは御こんいをおたのみ申ます
「いやはや金時どのには大きにおりよぐわい申たそのごあいさつでは権兵へめいたみ入ますハヽハヽヽヽ
「さきだつてのぶれいはうづらせんせいごめん下され
人物名 権 金
左丁
「かまくらに名たかい男ほどあつてうづら権兵へどのとやらハテさていさましいこつがら身どもはよりみつ源次左衛門と申てよりとも公ぢつきんの武士いごはおみしりくだされサア〳〵これへ〳〵
「わたなべつな五郎でござるうづら先生ようこそおいで下されたとのにもせんこくよりおまちかねでござつた
「さたみつ定八郎すゑたけ季九郎でござるおめをかけられてくだされ
人物名 頼 金 定 季