翻刻
【右丁枠外】
八ッ目
【右丁左丁上部】
寺(てら)
子(こ)
や
の
子ども
花見
の
と
こ
ろ
【右丁】
「まへのつゞき」【矩形で囲む】人にすぐれしせがれと娘
子だから二人もちながら見るかげもなき
やせらうにんゑちごちゞみの
をくうますあしきすくせに
あふくまがはうもれ木を
見るくちおしさよ
女房どもおりや
はらがにへかへると
うるむなみだを
たもちかね
しばたゝきたる
まぶたより
はら〳〵おつる
つゆしぐれことはり
せめてあはれなり
孝太郎も
みさほも
ともに
さし
うつ
む
き
て
なつ
ゐたりしが
母のをり江かたはらより
〽これはしたりこちの人
けふにかぎつてかへらぬ
くりこと子どもまでに
あのなみだいふてかへらぬ
むかしばなし今なつたは
おてらのいりあひ
夕まゝにしましやうと
【左丁中段へ】
【中段】
〽すぐに
つけ入て
小てを
はらへ
ヲヽ
見ごと
〳〵
【下段】
▲これはふしぎと
たちながらやうすを
きけばこれもほうばいの
ざんげんにて月のわの
おいへよりいとまの
みのうへおじ仁内を
たより女房小いそを
つれてくだりしとの事
なにはともあれ
内かたへゆきたまへ
おしつけかへりて
ゆる〳〵あはんと
此所をわかれけり
兵介【兵作ヵ】ふうふこれより
仁内がいへに
かゝり人と
なりて
くらしけり
【絵の男】仁 【絵の女】み
【左丁】
【上段】
【女】をりへ 【男】兵作 【女】小いそ
【中段】
まぎらず人の
むなさきへ
つつはる
しやくを
まぎ
らせ
て
おやこ
四人
が
ぜん
だて
も
ばんじに
ことをかけぢやわん
わかいへらくのかまのした
をりたくしばのけふりさへ
わびしきくらしとしられけり
○かくてつぎの日仁内が
つまのをり江がてし子ども
やくそくの花見なれば
子どものつむりへ梅のをりえだの
つくりばなをさゝせつけたるたんざくへめい〳〵の
名をしるし花ぞのさしてたちいでけるに
をり江はしせうの事なれば子どものけいご
かた〴〵あとをまもりて花ぞのちかく
きたりしにむかふよりくるたびすがた
さてにた人もあるものと思ふうち
ちかより見ればばんしうにのこりたる
仁内がいとこの兵作ふうふ▲
【下段】
○孝太郎(こうたらう)
みさほ
けんじゆつ
けいこ
する
【絵の男】考【孝ヵ】