翻刻
【右丁】
【上段】
「まへのつゞき」【矩形で囲む】そううまくはめへるめへいかにもこゝにしまのさいふ
金も丁ど二百両ほしくばおのれがくびとひきかへへい〳〵〳〵〳〵
めつたにとられてよいものかと見かけにも
にぬだいたんふてきいかさまむかしは
ものゝふのやそ氏すじやうも
ある人とてなみのほどにて
しられたりさすがの
あく五郎もあんに
そういしこいつは
なか〳〵ほねかある
しかし見こんだ
そのふところ
うぬが命は
ねくさつたと
又きりつくる
つるぎのいなづま
所へかけくるておひぐま
あく五郎にとびかゝる
こなたはそれと見るよりも
つゝみをせおひいつさんに
あとをも見すして
のがれけり
○それはさておき
こゝに又かの氏井
仁内はこの日
一のみや明神へ
さんけいの
かへりがけ
おほかみ
とうげの
ふもとを
とほりけるが
【左丁中段へ】
【中段】
○月をたよりにぬ
のさらすしづのめ
〽まさしくこれこそ
ちどりまる
【下段】
▼▲そのまゝにいひければ
仁内いかにもちがひごさらぬが
金ばかりてほかにしなも
ごさらぬかといはれて
らうにんうぢつく
ことば〽いやほかには
なにも〽ないとの
ことかいや
こくな
大がたり
めが
金子の
ほかに
いんばん
ひとつ
わりふがちがふは
かたりのせうこ
〽なにそれがしを
かたりとは
〽ヲヽさ
かたりも
かたり
大かたり
と
よく〳〵
見かはす
かほと
かほ
〽ヤア
そな
たは
【左丁右下へ】
【縞の着物の武士】仁
【左丁】
【上段】
▲いんばん
ひとつ
これはたじかに
みちゆく人のおとせしに
ちかひなしたいまいの
二百両さぞかしなんき
なるべししばしがあひだ
此所にてまちあはさば
たづねにきたるは
ひつぢやうならんと
かたはらのつぢどうに
こしをかけまつまも
あらせずかけきる
らうにんすかた
仁内がまへに
こしをかゞめいま
あれなる百しやうやにて
さいぜんこゝをとほりし
村のあるきにうけ給はれば
さいふに入し金子おひろひ
ありしとのうはさいそぎのたびに
心せきとりおとせし金子なればなにとぞ
おもどしくだされよといふに仁内小くひをかたむけ
たびすがたとも見へぬらうにんこゝろへずと
思ひながらして又金子のたかはいかほど
さいふのもやうわりふがあはゞいかにも
おわたし申さんといふにらうにん
いかさまこれはごもつともさいふは
しまのてをりもめん金子は内に
二百両なんとちがひはござるまいと
さいぜん正さくがいふこと▼▲
【中央】
月のひかりに見つけたる
あやしきひとしな
とりあげ見れば
しまのさいふ
内には金が
二百両
と▲
【下段】
■〽そふ
おいやるは
よこしま
あく五郎
いぜんにかはる
そのすがたは
うはさにきこへた
しやじんの
用金
「次へつゞく」【矩形で囲む】
【中央】
〽なにが
なん
と
【右下】
氏井
仁内【■脱】
【黒の着物の浪人】悪