翻刻
みづからなせるわさはいなれはたれをかうらむべき然(しか)るに心得
ちがひのものは死(し)なんよりは腕(うで)ずくにても人のものをうはい
活命(いきのび)んと思(おも)ひ立(たち)己(おのれ)のみか人まてもさそひ立(たて)大勢(たいせい)徒党(ととう)しらん
ぼうに及(およ)ぶ抔(など)は悪少年(わるものゝ)の所業(しはざ)重(おも)き御法度(ごはつと)をやぶり盗賊(とうぞく)の働(はたらき)
に当(あた)り御仕置(おしおき)となるは目前(もくぜん)なりたとへのがれて長命(ながいき)すること
万一(まんいち)ありとも天にたがひ君(きみ)に背(そむ)きて莫大(ばくだい)のとがをおかしなば
うしろぐらき事いふ計なく高き天もひきくあつき地もうすく
覚(おぼ)えて広(ひろ)き世界(せかい)もせまかるべし是人と生(うま)れし甲斐(かひ)なきにあら
ずや鳥(とり)さへも雨(あめ)ふらぬ前(まへ)に巣(す)を固(かた)くし人の侮(あなどり)をうけず人と
して父母(ふぼ)妻子(さいし)の手当(てあて)なく餓死(うゑじに)せしめば鳥(とり)にも及(およ)ばぬ事あさ
ましく耻(はづ)かしきことならずや
○餓人(うゑひと)をすくふ心得
○累日(いくにちも)絶食(ぜつしよくし)鵠面(かほほねだち)菜色(あをくなり)やせつかれ食物(しよくもつ)をこふともめしをあたふ
べからずうすきかゆをぬるくして少(すこ)し与(あた)ふめしを食(くら)へば立所(たちどころ)に
死すといへり妄(めつた)に薬(くすり)もあたふべからす○餓莩(うゑだをれ)をすくふ法(ほふ)濟急方(さいきうはう)
に曰/手拭(てぬぐひ)様(やう)のものをあつき湯(ゆ)に浸(ひた)し臍(ほぞ)腹(はら)を熨(むせ)ばじねんと回生(いきかへる)