翻刻
さまし臼(うす)にてひきこまかにふるひ米をまぜだんごとす○
こ米(ごめ)はあたらしきすりばちへ水をはりこ米(こめ)を入(い)れゆり動(うごか)
し小砂の下(した)にしつみたる時分(じぶん)にうへの方(かた)よりすくひ上(あぐ)る
時(とき)はよき所(ところ)ばかりになるそれをかうじにねかし又かゆにも
ほしいひともしたん子ともする○粃味噌(ぬかみそ)《割書:どぶ|づけ》を漬置(つけおき)くひ
もの尽(つき)たる時(とき)に少(すこ)し穀(こく)をまじへ煮(に)てすゝれば死せずと
いふ○藁(わら)を極(ごく)こまかにきざみいりてさましやげんにて
おし又は石臼(いしうす)にてひきふるひ米をいりて麦(むぎ)こがしのごとく
して食(しよく)す又だんごともす○栗(くり)○柿(かき)○椑柿(しふかき)○棗(なつめ)○桑(くわ)の實(み)干(ほし)
たくはふ○止知(とち)の實(み)を水にひたし煮(に)ること十五/度(ど)よくむし
て食(くら)ふ流(なが)れに一夜(いちや)つければ一度にてもよしといふ○榧子(かやのみ)を
香煎(かうせん)にして食(しよく)する方(はう)ありそれへ麦(むぎ)のいり粉(こ)を合(あはせ)て飢(うゑ)を
しのぐ○橡實(くのぎのみ)の製方(せいはう)前(まへ)に同(おな)じ○檞實(どんぐり)は弱(よわ)き人/老人(らうじん)小兒(せうに)は
食(くら)ふことなかれ水に浸(ひた)し又水をかへにる事(こと)十四五/度(ど)渋味(しぶみ)を
さりよくむして米(こめ)の粉(こ)をまじへ餅(もち)として食(くら)ふ紀伊(きい)の国(くに)熊(くま)
野(の)山中(さんちゅう)常(つね)に米(こめ)麦(むぎ)にまじへ食(しよく)す○胡桃(くるみ)○榛(はしばみ)○柯樹子(しゐのみ)○干蔔(ほしぶ)