翻刻
○から麦(むぎ)一斗四升○小麦(こむき)一斗四升○大豆一斗二升五合○小豆(あづき)八升
四合○銭百文に付/生麩(せうふ)二升八合○八百文に付ひゑ糠(ぬか)一/俵(ひやう)○十六
文/大根(たいこん)一本○五十文ひば一/連(れん)委(くわ)しく農喩(のうゆ)に見(み)ゆ求(もとめ)てみるべし
○凶饑(きゝん)悲惨(いたましき)の状(ありさま)を記(しる)しておこたりをいましむ
○享保丑年のきゝんに上方(かみがた)の豪商(かねもち)米うりきれたれば金持(かねもち)ながら
難義(なんぎ)せしことあるよし我(わが)つゑと云(いふ)書(しよ)に見(み)ゆ○宝暦(はうりやく)五のきゝん
にある人/越後(えちご)の国(くに)へゆきしに流莩満路(にけさりゆきだふれ)多しある家(いへ)にたちいり
見(み)るに小児(せうに)二三人を柱(はしら)にくゝりつけたり何(なに)ゆへと問(とふ)にかつへ候ゆへ
兄弟(きやうだい)たがひにくひ合候に付かくするといひたりき○又/隣家(りんか)に
て何かさはかしかりしかば何事(なにごと)ぞと尋(たづ)ぬれは箒(はゝき)うる翁(おきな)一飯(いつはん)を
乞しゆへめしにしゞみ汁をそへてあたへしにからとも狼呑(まるのみ)し
て気絶せしとぞ湯河洲叟/語(かた)りき○食(しよく)もつなくては婦人(ふじん)の
乳(ちゝ)出(いで)ざればちぶさをくひ切(き)られ死(し)するもあり又は子どもかつ
ゑ親(おや)に喰付(くひつく)もあればぜひなく櫃(ひつ)の中(うち)へいれ死(し)を待(まつ)て捨(すつ)るも
ありしとぞ○天明のきゝんに百金(ひやくきん)を腰(こし)にせし浪人(らうにん)餓死(うへじに)せし
事(こと)ありとぞ金銀(きん〴〵)珠玉(しゆぎよく)うゑて食(くら)ふべからず寒(こゞえ)て着(き)るべからすと誠に