翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 10

ページ: 10

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交易もの也  アメリカの女ハ烟草を喫吸せす烟草ハ亜墨利加の既製  にて葉を蜜にて堅く練り堅め厚サ壱寸計り長サ五六寸  巾壱寸余りに製たる物の由アメリカ人等常に是を喫吸  しまた不断口に含ミて噛ミ居る此たばこを■【含?】ミ噛ミ居る  事口中の薬にて肉食の毒を去ると也漂客此烟草  を舟子共ゟ沢山貰ひ候得共味ヒ厳敷/吃咽(コツエン)/(イカラホク)しがたかりし故  後に中華へ持渡りて売しに目方三百匁価銀拾弐匁ニ売   候由此製ハ唐土にてハ出来すと云夫故価も貴く常翫  すると也まして裸島夜国島抔にてハ別て重宝すると云  最初ニ漂流人持合セ有し日本烟草を一玉ツヽ舟子に遣し候  得共格別歓バすして後唐土渡海の砌右之刻ミ煙草を  /贐(ハナムケ)として舟子共一同より戻し呉候よし 此洋中迄鯨を突き止メたりし時折節氷山流れ来りその 氷山の下へ鯨を沈せ引出す事不叶して魚■【骸?】を切捨逃せし由 猶も奥の方へ勧ミ行し時頃ハ七月十五日なりしに暮六ツ時にはや 月ハ一反だけも昇り在し故不思儀に思ひ居る内月隠れ弥 不審に思ヒ候月の大キサおよび明朗なることハ日本とさして変 らす夜ハ至て短かく日本の夜半位と覚ゆ日中も格別 永き様子覚へすと云此所雰深く白昼も薄くらくして また夜中とても左のミ暗からす闇の夜と云時も日本の暮レ 六ツ時位の事にて細字を読書するにも燈りを点するに 及す挑燈ハいらぬ国の様に思ハるゝ此洋中魯西亜の 所領と云七月下旬漁父交易事相仕舞是ゟ帰路に をもむく此所ゟ洋中南へ走る事凡三十五七日にして 北亜墨利加の属島ハフウト云所へ九月四日着岸  此所海上六ケ月走りてアメリカの本国へ至ると聞計漂客  等アメリカ本国へハ行ざりしとそ南正帯ゟ北氷海