翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 11

ページ: 11

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へ渡りたりと言広太の亜墨利加へ行て見ざりし事無事 に帰朝せし上の歎目にハ少しく残念也と言 此島廻り六拾里に過す孤島温熱の地にて年中冬気なし 雨ハ百日に壱度位ならでハ降らす晴天計りの熱国成りと万次郎 申候由此万次郎の事奥に委敷有此島五十年已前者異国人も 通ハざる僻島の一幽島にて尊長と言者もなく温熱無冬の地なれバ 島人一同赤裸にて禽獣にひとしく人死すれハ男女各喰ひ親 子の分チなき戎国なりしを五十年前北アメリカ人初て爰に 来り此島を開拓してアメリカの属とせし由也夫ゟ此所に小 城を築て尊長を置尊卑の品を定メ土人に家造りを させて耕作諸道を撫諭教導し風俗言語の悪しきを 直し算数書法をも習ハセ交易の理を起して国を富 せしゟ土人其徳沢に懐き真服せりと云此接近の続 島有りワヒ モネ マラカイの三小島也此島四ツ の内にてワフウハ地形勝れたれバ都府と定メワフウ と云由此都府へアメリカより数商店を出しまた県吏 役所も有て通商を以管領する由此番鎮年々本国より 交代すると云其外唐土イキリス等之諸外国ゟも此所に 商館を設けて諸産物を交易する由交易ハ船壱艘の荷 を船から船の売買にして小商ひなく皆巨商なりとそ 此島アメリカより掌握せし已《見せ消ち:前|来》人の/屍(シカバネ)を喰ふ事禁制 之由なれ共未密々にハ禁を犯して喰ふ事も有にや或時 吉松途中にて黄昏に島女人の首を抱へて忍びやかに 行しを見て昔よりの染習除き難き事にやと思ひて心地 あしく有しと言此島年中日本の七八月の気候にて 衣服ハ単物ゟ外ハいらすと也男女衣ふくハアメリカの 商店にて買と云夫故風俗ハアメリカ人とさして変 らざれ共男女何レも色黒く女の分ハ猶更目ざし面色