翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 9

ページ: 9

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 接迫之地夜人国流鬼の南洋ならんか 此氷海氷山の上にチエヽと云海獣多く遊ひ居たりチエヽ は馬より大きし此海獣の身并マツカウ鯨の身など 船子共貰ひ候由にて面々持帰り有また去ル嘉永二酉年 我日本紀伊国薗浦へ来りし磯坊主もあまたあり  此磯坊主と云ハ薗浦の人名付たる所にして実の名にハ非す  右海獣近曽日本日高郡同浦へ来りて春ゟ秋の始頃  迄折々川海に遊んて堤に上りしに其姿犬より大きくして  跡足なし前足の永サ五六寸迄水掻き有尻のかたハ  鯰の尾のごとくなりて腹白く背の毛色灰色異風もの  なりしが唯言ともなく磯坊主〳〵と云なせし海獣之事也  本名知れす 又大船位の氷山右往左往に流るゝ所ハ船をかわせて通り 抜け段々遠奥のかたへ入込し節ハ寒気甚敷虎吉等ハ 綿入二枚重ね袷羽折を着て帽子を被き居たりしとそ 此時夜国人皮にて造りたる船へ男女拾人計り乗り来り 元船へ乗移り何そ交易致候由其人物/容貌(ヤウボウ)背イひくゝ /裘(カハコロモ)を着て頭ハざんぎりにて色黒く女ハ眉の下両方より 八の字形ニ入墨してつまらぬ風俗にてグウ〳〵と云て騒ケ 敷有之候  此グウ〳〵と云事何ぞ呉れと云事らしく相見エ候 船子共戯れて虎吉を指さし是ハ日本の女也と欺き けれバ夜国の男女日本人の袖広く丈ケ長き衣服着たる 姿を見て実の女と心得しや珍らしき物と思ひし体にて かの虎吉を取巻き一向放不申候故虎吉是ハ〳〵と 殆と込り止事を得す/睾丸(キンタマ)を出して見せけれバ漸く 得心せし由夜国も細工物ハ相応に出来候て面々木にて 造りたる/烟管(キセル)を持て烟草を呑候由烟草ハアメリカゟ